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第二回ガスパール・カサド国際チェロ・コンクール in 八王子 [チェロ]

 予想以上に志願者が多く、4日間(57人)の一次予選で20人に絞られ、12月1日、2日が二次予選、5日の本選でオケと共演できるのは僅か3名とのこと。既に棄権した人もいるようだが、締め切り時点では日本人18人、外国人43人の国際コンクールだ。
 私は2日目の一次選考を途中まで聞いた。みんな良い楽器を持っているなあというのが第一印象だった。バッハでは楽器の音色で勝負できる人は5番を選び、テクニックで勝負する人は6番、無難な4番という感じだった。
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 幾つか感想を言えば、個性を感じるのは外国人で、印象に残った三人の男性がいる。一人はルーマニア出身、カーボンチェロで演奏した。カーボンヴィオラはエッセンオペラの主席が使っており、チェロもどこかにあるのだろうとは思っていたが、ついにその音を体験することができた。彼はバッハ6番を選んだ。フレスコバルディも、ベートヴェンも素晴らしく、ピアニストがとにかく秀逸、もの凄い。「ピアノとチェロのためのソナタ」のアンサンブルをとっくり楽しませてもらった。彼らはすでに演奏家としてこの場に来たのだと思う。カーボンチェロの音量は自由自在で、ppでもはっきり聞き取れる。一つ意外だったのは、尾高氏作曲の課題曲「瞑想」で、この楽器では音色の変化がつけられないことがはっきり分かってしまったことだ。現代曲は音色不要のように思っていたが、こういう曲こそ音色が必要なものなのかと気がついた。
 もう一人はイタリア人、長身でとても心穏やかな演奏をする。エネルギッシュな演奏する人が多い中で、彼は異質だったと思う。宗教的な神聖な雰囲気があり、隅々まで歌い上げていた。残念ながら、日本人ピアニストとあまり合わせていなかったようで、アンサンブルの妙技は感じなかった。「瞑想」まで歌にしてしまう、さすが歌の国イタリアの音楽家だと思った。
 もう一人は、中国人で第一回にも応募したとのこと。とても上手でだれか有名人のCDを聞いているように、とても綺麗だった。あんなに自然な模範的な演奏がどうしてできるのだろうかと印象に残った。ジュリアード留学中のアメリカ/韓国人の女性は、地味ながらとても音楽に対し真摯な態度を感じ好感を持った。
 私が応援に行ったのは、日本の中3男子、久しぶりで演奏を聞いたが、この時期の少年の成長ぶりは想像を絶するものだった。毎日身長が伸び、心身ともに昨日と同じ自分がそこに居ないという悩み多き時期をみんな乗り越えて、大人の演奏家になるのだろう。彼のバッハ6番はさらに磨きがかかり、生き生きとして、音が濁らないからだろうか、まるで教会で聞いているような響きだった。
 課題曲全てを納得できるように演奏できる人は少ない、あらゆる面を審査するコンクールの課題曲はよく選ばれているとつくづく思った。今日も一次審査が続いており、昨日までの演奏はHPから聞くことができる。演奏後30分でCDも作られ、ハイテク時代のコンクールだ。(G)
http://www.cassado-cello.jp/japanese/j_index.html
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