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新国立劇場-ヴォツェック② [オペラ(国内)]

 第二回目はドイツ語の台本を読んでから行った。ワーグナーでも感じることがあるが、やはり原語のニュアンスは字幕で伝わらないところがあり、平坦なオペラに感じてしまう場合がある。今回の舞台は台本通りだとは思ったが、これは第一段階の感想で、これだけ深刻な話である以上、さらにもっと深いところの人間を描きだせないものかとも感じた。
 初回では気づかなかったが、子供もかなり演技していた。ここでは母親より父親の方になついている子という設定のようだが、台本では父親の溺死場面に子供は居ない。母親の死に対し何も感情が表れてこない原作は強烈だ。社会から外れた、感情も未分化な、いじめられっ子のように描かれたところに未来は無く重苦しい。貧困、疎外、不可解な言動、何だか気づいてみれば、現代社会そのもの。あまりに身近過ぎて、不快感を覚えるのだろうか。
 今日は字幕に追われなかったので、音楽がよく耳に入って来ると思ったら、随分前、多分フランクフルトで聴いたヴォツェックの耐えがたかった音が甦った。あの時は字幕がなく、まだドイツ語にも慣れていなかったので、音楽のみに集中してしまったのだ。二日前、実は音楽を聞いていなかったのではないかと思う。綺麗な個所だけ拾い聞きし、苦しいところは聞き流すなんて、自然に自己防衛機能が作用するほど、私にとっては強烈な音楽なのか、よくわからないが、とにかく苦しい。(G)
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