歌舞伎座-二月大歌舞伎 [歌舞伎]
歌舞伎座3階席で、昼の部を見た。歌舞伎座120年、初代松本白鴎27回忌追善企画で、小野道風青柳硯は昭和21年白鴎が駄六を演じて以来の上演とのこと。
箱型劇場の空間を左右斜めから縦横無尽に飛び交う掛け声が、何とも言えず心地よい。舞台の世界にふっと引き込まれる呪文のようだ。小野道風青柳硯と車引は約30分の作品で、続きをもっと見たい感じが残る。
改めて思うのは、真紅の衣装が本当に美しい。よく言われるが、赤がこんなに人を興奮させる色だと実感したのは初めてだった。また、決まりごとの動きの美しさ。最近のオペラでは動きのリアルさが追求されるが、歌舞伎は全く逆で、簡素化された動きに特定の意味を持たせる、決まりごとを楽しむ芸能なのだ。これも実感できた。そして踊りが見事。子供のときのお稽古で、意味もわからず、役どころも理解できず、唯々恥ずかしくてできなかった仕草が思い出される。日本舞踊は、舞というより、役になりきる演技だったのだ。
仮名手本忠臣蔵は、一力茶屋が思ったより派手ではなかったせいか、幸四郎の声が意外と通らないせいか、かなり長く感じた。平右衛門とおかる兄妹が出会ってからが、とても細かく、これはワルキューレ以上だと思った。ワーグナーも長い台詞が耐えられないという人が多いのと同じだろう。忠臣蔵全編を見たいと思うようになる時まで、歌舞伎好きとは言えないのだろうなあと思った。(G)
一、小野道風青柳硯(おののとうふうあおやぎすずり)
柳ヶ池蛙飛の場 小野道風 梅 玉、 独鈷の駄六 三津五郎
二、菅原伝授手習鑑 車引(くるまびき)
松王丸 橋之助、梅王丸 松 緑、 杉王丸 種太郎、
金棒引藤内 亀 蔵、桜丸 錦之助、藤原時平 歌 六
三、積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)
関守関兵衛実は大伴黒主 吉右衛門、良峯少将宗貞 染五郎、
小野小町姫 傾城墨染 実は小町桜の精 福 助 、
四、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
祗園一力茶屋の場 大星由良之助 幸四郎、 寺岡平右衛門 染五郎、
大星力弥 高麗蔵、斧九太夫 錦 吾、矢間重太郎 秀 調、
富森助右衛門 家 橘、赤垣源蔵 友右衛門、 遊女おかる 芝 雀、
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