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国立劇場-初春歌舞伎公演「小町村芝居正月」 [歌舞伎]

 新年の演目は、小野小町を題材にした顔見世狂言を、約200年ぶりに蘇らせた作品。歌舞伎はよく知らないので、ついオペラと比較していまうが、上演されなくなっている作品を発掘し、将来に残そうという思いは世界共通で、その為にエネルギーを費やしてくれる人たちがいるのは有難いことだ。今回の作品でも途中場面が移るときの三味線の音楽まで新たに作曲され、挿入されている。あらゆる面で伝統にのっとって、修復されているのだろう。雪降る音を太鼓で表すのは決まりごとなのだろうか。プッチーニには無いなあと感心した。

 以前上方歌舞伎を見たときの記憶が蘇ってきた。劇中の「いじめ」には心痛む。「責め」の場面、小野小町が農民の出という設定なので、十二単姿で収穫の歌や踊りを披露させられる屈辱的場面がある。こういう公衆の面前での「恥」が、恨みや仕返しに発展する作品もあり、日本人の陰湿な性格は昔からのものなんだと、何だか悲しくなる。一方、「殺陣」には息を呑んだ。若い菊之助(女狐役)が追っ手と戦う場面はとても美しい。新国立のオペラの舞台でもよく宙返りなど取り入れるが、これくらい、力強くやってもらえたらなあと、つい思ってしまう。「暫く」では、「そんなの関係ない!」という流行語まで飛び出し、年末オペラこうもりのフロッシュの場面を連想した。
 総じて、歌舞伎は動きが美しく、日本人として理屈なく楽しめる。幼い頃の、踊りのお稽古のことをふと思い出し、年の初めに、また新たな舞台の世界に引き込まれていきそうな予感がする。


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