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ワーグナー協会例会ー「タンホイザーにまつわるエトセトラ」 [講演会]

 新国立劇場オペラ音楽チーフ・城谷正博氏が、楽日を迎えたばかりのタンホイザーについて、作品和声解説、制作現場の様子、アーティストの話、そしてヴァーグナー愛を語って下さった。
 初めはタンホイザー序曲ではなく、半音低い調で始まる3幕の巡礼の合唱をピアノで弾いてくれて、和声の魅力の話に入った。七度の跳躍、音符のターンが好き、冒頭バッカナールにトリスタンの和音が入っているなど、楽しい話だった。 
 新国立劇場の演出家をどうやって決めているのか、これまで語られたことはないが、このハンス=ペーター・レーマン氏はその経歴を見ても、日本がドイツの劇場と肩を並べるような舞台を期待したことは間違いないだろう。今になって、個人的に想像するのは、初めに日本側が版の指定をしなかったのか、氏がドイツから遠い場所なら1860年版と1888年版をミックスする演出を実験できるかもしれないと冒険したのかのかもしれないという妄想だ。
 現場サイドでは、歌手それぞれの作品への思いは様々あっても、初演の舞台に忠実に再現しているとのことだ。グールドどは1860年版と1888年版どちらの版もマスターしており、歌い間違ったら教えてくれというほど、誠実な歌い手とのこと。指揮者はレパートリーは多いが、タンホイザーが初めてだったらしく、3日日とも全曲通したとのこと。普通は全曲はやらないらしい。でもグールドはマスクをしたまま、3日間全力で本番通り手を抜かずに歌い、周囲も刺激されたようだとのこと。
 細かい話では、指揮者のスコアが珍しく、幕ごとに別冊になっており、左ページはフランス語、右ページはドイツ語で載っており、右ページだけを見てめくっているたとのこと。
 また、この作品はハープが本当に重要で、ハープと歌の場面が多く指揮者でなく、ハープと歌手が直接コンタクトをとるそうだ。そしてコーラスの練習として2019年には男声四部を4人チームで練習させて、他の団員に聴かせたとのこと。これでアカペラの音程が安定して演奏効果が上がったという話。
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