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バイロイト音楽祭ーヴァルキューレⅡ [オペラ(海外)]

 ジークリンデは既に妊娠中、ノートウングは出て来ない。ヴォータンの杖もない。その後ジークリンデは、三幕で出産、ブリュンヒルデが子供を抱いて現れるのだが、本来希望を失っていたジークリンデが、生まれてくる子供のために生きる決心をして、逃亡を図るはずなのが矛盾している。岩山に火は見えない。舞台上は、倉庫の扉の向こうに、ブリューンヒルデを閉じ込める。
 二幕冒頭、ブリュンヒルデは、恋人のような男性を連れて派手な服装で登場する。程なく男性がグラーネであることに聴衆は気付く。フライアの棺と写真が飾ってある。ブリュンヒルデは弔問に来たのか、フリッカにたしなめられ派手な服を着替える。有無を言わせぬフリッカの権力は、さらに強調されている。フライアの死を示すということは、どんな意味があるのだろう。皆死んでしまうということだろうか。
 ブリュンヒルデの指示で、ジークリンデの逃避行に、グラーネ(男性)が付き添う。3幕でグラーネは、岩山には入らない。
 歌手はとても素晴らしい。ジークリンデのダヴィットソンは今とても売れっ子で、身長188cm、声量もあり、歌に余裕があり、コロナ前はこういう堂々とした歌手には出会わなかった。テオリンも良いと思うが、カーテンコールでブーが出るのはなぜだろう。それほど絶叫しているわけではないのに、歌手に対する要求が変わってきているのだろうか。
 ヴォータン/ヴァンドゥラー役は何人か変わったようだが、認識している範囲で、グロイスベックが引き継ぐはずだったが全部降りて、コニエチュニーに変った。この人は今年大活躍、演技が素晴らしい。3幕の独白は、火も無くブリュンヒルデもおらず、ただ後ろに倉庫の扉があるだけで、ヴォータンの演技力にかかっており、素晴らしい見せ場だった。
 フォークトも勿論素晴らしいジークムントだ。一幕6場、ブリューンヒルデがジークムントに死の宣告をする場面には、ヴォータンもいて、他にもほぼ登場人物が勢ぞろいしていたと思う。ラインゴルトからそうなのだが、全員舞台に上げているのは、全員が関わっているという意味だろうか。
 音楽はオケの人数が少ないのか、音がうすい気がする。コーネリウス・マイスターの音楽の盛り上げ方はロマンチックで、例年、指揮者が、細部で個性を見せる感覚とは違う。激しさを避け、万人向けというか、誰にでも許容される穏やかな音楽でとどめておくのか。歌手は素晴らしいけれど、コロナ前に比べ、音色や音楽による感動は浅い。

Musikalische Leitung:Cornelius Meister
Regie:Valentin Schwarz
Bühne:Andrea Cozzi
Kostüm:Andy Besuch
Dramaturgie:Konrad Kuhn
Licht:Reinhard Traub

Siegmund:Klaus Florian Vogt
Hunding:Georg Zeppenfeld
Wotan:Tomasz Konieczny
Sieglinde:Lise Davidsen
Brünnhilde:Iréne Theorin
Fricka:Christa Mayer
Gerhilde:Kelly God
Ortlinde:Brit-Tone Müllertz
Waltraute:Stéphanie Müth
Schwertleite:Christa Mayer
Helmwige:Daniela Köhler
Siegrune:Nana Dzidziguri
Grimgerde:Marie Henriette Reinhold
Rossweisse:Katie Stevenson
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