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ローエングリン 東京・春・音楽祭 2022  [オペラ(国内)]

 3年ぶりに開催された東京・春・音楽祭 2022年は、Wagnerシリーズ第13回目になる。
2014年にヤノフスキーのリングが始まり、音楽祭の連続性が担保されたように感じる。マエストロの巻頭言を読んで、仰っる通りだと思う。この先ヨーロッパの音楽活動は、コロナ禍以前には戻らないかもしれないと覚悟した。
 東京春祭でのローエングリンは二度目で、2018年はフォークト だった。コロナ禍でトリスタンとパルジファルが中止となり、シャーガーは過去2年間キャンセルになっている。
 上野で聴くWagnerに一喜一憂して10年が過ぎたが、今年はオケが若返った印象だった。今年はN響のゲストコンマス白井圭がゲストコンマスだった。白井さんは全員と直にコンタクトをとり、そのがっちり束ねた糸を撚り上げてオケの音をつくる感じが、私は好きだ。日本にもようやく、情熱を見せつけてくれるオケが出現したようで、こういうヨーロッパ風のオケが増えれば、もうドイツまで遠征せずとも、落ち着いて老後が送れるかもしれない。
 と言っても、今日の演奏については、やはり1幕のキラキラ感が足りないと感じた。ヨーロッパでは、基本、音楽が神様に届くよう、教会の尖塔まで、音を高く上げようとしているように感じる。やはり、日本人の苦手なところではないだろうか。一方2幕のオルトルートとテルラムントの場面は、よく練習してあるのが分かる。テクニカルな演奏にN響は燃えるのだと思う。
 N響のベテラン弦奏者が、熱演する様子も心地よい。お仕事モードから脱したようで、今N響を聴くなら、コンマスが白井さんの時が好い。
 ヤノフスキー氏が日本を活動の場として気に入ってくれたことは有難い。もう一つ、今年の幸運は、バイロイト音楽祭の前の合唱指揮者のフリードリヒ氏が日本に指導に来てくれていたことではないだろうか。舞台でお姿を拝見するまで来日されていたとは知らなかった。歌手は代役が多かったが、遠いアジアの果でのワーグナー経験を、各々のステップアップにつなげていただきたいものだ。公演直前の交代は、ロシア人のツィトコーワだった。言うまでもないが、残念だ。
 ローエングリンは、やはりVogt の美声が聴きたいのが本音だ。いつどこで聴いても完璧に歌ってくれるVogtは、本当に凄いと益々思うようになった。
 2023年のプログラムはマイスタージンガーの予定で、8人のマイスターたちを選ぶはオーディションは、既に行われている。

東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.13
《ローエングリン》(演奏会形式/字幕付)
東京春祭 ワーグナー・シリーズ

日時・会場
2022年3月30日 [水] 17:00開演(16:00開場)
2022年4月2日 [土] 15:00開演(14:00開場)聴いた公演
東京文化会館 大ホール
出演
指揮:マレク・ヤノフスキ
ローエングリン(テノール):ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー
エルザ(ソプラノ):ヨハンニ・フォン・オオストラム※(マリータ・ソルベルグから変更)
テルラムント(バス・バリトン):エギルス・シリンス
オルトルート(メゾ・ソプラノ):アンナ・マリア・キウリ※(エレーナ・ツィトコーワ(から変更)
ハインリヒ王(バス):タレク・ナズミ
王の伝令(バリトン):リヴュー・ホレンダー
ブラバントの貴族:大槻孝志、髙梨英次郎、後藤春馬、狩野賢一
小姓:斉藤園子、藤井玲南、郷家暁子、小林紗季子
管弦楽:NHK交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:エベルハルト・フリードリヒ、西口彰浩
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン
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