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新国立劇場 ニュルンベルクのマイスタージンガー③ [オペラ(国内)]

 楽日の席は4階4列の端、座ってみると、妙に体になじむ席だった。コロナ以前、次第にD席が買いにくくなり、ストレス低減のため、C席を買うようになったが、4階1、2列の視界はあまり良くない。4列まで離れると舞台が一つの画面サイズになり、却って舞台の様子がよくわかる。長年見てきた視界だからかもしれないが、それなりに見やすい。前の週の三階席の観劇は予定外だったが、最終日はベックメーッサをできるだけ追ってみた。
 エレートは本当に演技も上手で、2幕最後の喧嘩場面で殴られるスローモーションが素晴らしい。怪我して足を引きずる姿もリズム感も最高だ。
 3幕最後、シュトルツィングの歌を聴き、盗んだ歌詞の書いてある紙を取り出し、先週の日曜は、そうか、なるほどと、紙を叩いたり、うなずいたり、シュトルツィングを称賛しているように見えたが、この日は、頭を抱え、おでこを平手打ちして、自分の失敗を悔いているような、落ち込んだ様子を演じていたように見えた。近づいてきたシュトルツィングの眼差しにも答えず、一切目を合わさずうつむいていたと思う。毎回演技を変えているのかもしれない。
 このシュトルツィングは、これまで私が観たマイスタジンガーの中で、特に気が荒いタイプだったので、幕切れは当然の成り行きだろう。
 平日の楽日の公演はめったに来ることが無いが、歌手陣は伸び伸びと歌い演技していたようだ。
 伊達さんは、絶好調。Vinke は結局ずっと苦しそうで、3幕Morgenlich...の歌いだしは3日とも声が出なったが、最終日のVinkeは歌量があがり、歌いながら踊ってった。(クルリと回転した)前に気づかなかっただけなのだろうか、楽しそうに見えた。3幕の五重唱は、音程も音量的にも、最終日が一番よかっと思う。バイロイトではプロダクションの最終日にアドリブが入るが、歌手が楽しんで帰ってくれれば、嬉しい。
 終わってから二日たち、確認したい内容もあって、お口直しに、バイロイトのコスキー演出のマイスタジンガーの一幕を少し見た。一幕の登場人物たちの心理が細やかに表現されていて、確かにマイスターたちは、初めシュトルツィングの新しさに目を見張っていたが、途中から自分たちの立場を危ぶみ、守りに入ったことが有り有りと見てとれた。聴覚より視覚が優位に立ってしまう舞台だったが、映像として楽しむには素晴らしい。
 他のプロダクションでは、ハンスザックスが民衆のマイドコントロールをできる存在であることに焦点を当てたカテリーナW演出が過去にあったが、その要素が潜んでいることは確かに作品中に感じる。また、劇中劇で3幕がケルンの劇場前のお祭り場面だった演出もあり、多分自分たちの生活、実社会の問題に直結している舞台作品なのだろう。どこの町の話にでも転用できると思えば良いのかもしれない。
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