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サントリーサマーフェスティヴァル2021  マティアス・ピンチャー・岡本侑也 [コンサート]

 マティアス・ピンチャーに興味があったわけではないのだが、岡本侑也さんがピンチャーのチェロコンチェルトを日本初演(世界初演は2017年ボストン)するとのことで、13日ぶりに東京へ行った。
 初演が作曲者の思う通りに演奏されることは重要だ。新しく生まれた楽譜を読み解き音にする、音楽の最もクリエイティブな行為は、表現者にとってエキサイティングなものだと思う。新作の演奏を何種類か聴くと、奏者の音楽性の違いが凄くよくわかる。ロストロポーヴィチのために作曲されたチェロ作品は沢山あるが、表現力豊かな岡本さんは、作曲家に初演を依頼されるだけでなく、岡本さんに弾いてもらいたいと、作曲される日が来るかもしれない。
 「目覚め」は最もよく表現できる楽器がチェロなのだとは思うが、チェロの男声の音域に限定されていて、かなり細かな音色の要求に応え、低音なのにクリアに鳴り、声のような刻みや、雑音にならない低音がいかに難しいか、低音域で最大限の表現を聴かせてもらった。蛇足ながら、良い弓は特殊奏法もあり破損が危険で使えないので、重量感がもっと必要ならカーボン弓だなと思った。
 ラヴェルのスペイン狂詩曲は、ラヴェルの若い頃の作品だが、初めから、音の立体感が素晴らしいと思った。指揮者が作曲家であると、楽器の音のバランスなど、とくに厳密なのではないかと想像する。
 23歳マシュー・シュルタイスの世界初演の曲は美しいと感じた。個人的には、何となく想像力をかきたてられる優しさのある音楽の第一印象が好い。強烈なものに弱い性格なのだ。現代作曲家の時は常に進んでおり、作風を変えながら進化するのか、作品が過去の記録になってしまうのか、新曲がどのように受容されていくのか、興味深い。
 せっかくCD発売コーナーがあるのに、なぜ、岡本さんの新しいソロCDが出ていないのか残念だ。録音した高崎芸術劇場のしばりでもあるのだろうか...今さら、エリザベートコンクールではないだろうに。
プログラム
マシュー・シュルタイス:『コロンビア、年老いて』 (2020) [世界初演]
マティアス・ピンチャー:『目覚め[ウン・デスペルタール]』 チェロとオーケストラのための (2016) [日本初演] * チェロ:岡本侑也
マティアス・ピンチャー:『河[ネハロート]』 オーケストラのための (2020)
[世界初演サントリーホール、ザクセン州立歌劇場・劇場、ロサンゼルス・フィルハーモニック、スイス・ロマンド管弦楽団、パリ・フェスティバル・ドートンヌ、ラジオ・フランス共同委嘱]
モーリス・ラヴェル:『スペイン狂詩曲』 (1907~08)
出演
チェロ:岡本侑也
指揮:マティアス・ピンチャー
東京交響楽団
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