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岡本侑也 ドヴォコン 高関健/大阪フィル [コンサート]

 大阪のザ・シンフォニーホールに初めてきた。そしてかぶりつきで、ソリストもコンマスの音色も聴いた。
 先週のロココに続き、今週、岡本さんは大阪フィルとドヴォコンを協演。この演奏会はコロナ禍で5/23から延期になり、直前になって、指揮者も高関健さんに変更になった。
 先週のロココの時初めて感じた、オケを従える醍醐味は、ドヴォコンでさらに大きく膨らみ、湧き上がる真夏の息吹は、天まで届く勢いというか、ドヴォルザーク先生も目覚めてくれそうな、端正で、美しく、広大な地面にしっかり立つような、力強い一楽章だった。大阪フィルには東京のオケとはちょっと異なる、粘りのあるエネルギーを感じる。ただ、最も美しくハモるはずの3楽章のコンマスとのデュエットのところは、コンマスに花を持たせるはずが、音色(音程も)が合わず、まさかの緊張場面だった。
 これまで国内演奏会で、生で聴いたドヴォコンの印象は様々だ。必ずしも、オケとソリストが一体になっているわけではない。ソリストが暴走したり、美しいソロにオケが音楽的についていけなかったり、お互いに無難にこなすコンチェルトもたくさん聴いてきた。
 今回の岡本さんは、例えるなら、武家の棟梁か、中世ヨーロッパの騎士団の先頭を走る英雄、慕って来る人達を束ね、鼓舞し、突進していく堂々たる勇者の姿だった。
 オケもソリストもエネルギー全開の中で見せてくれる、ソロの超絶技巧も感情表現も、あまりに自然なので、どれだけ凄いことか、気づかない人もいるかもしれない。たとえ難所の細かいパッセージでも、オブリガートであっても、留まっている音はなく、同一の音でも前の瞬間を受け継ぎ、生き生きと進んでいく。情熱的なのに爽やかな演奏はめったにないと思う。
 個人の想いではあるが、時に囁くように歌いかけ、時に力強くリードし、奏者本人がとても楽しそうで、あふれ出る感情、憧憬と歓喜ようなものを聴衆に届けてくれた。岡本さんの音楽に身を任せ、幸せに感じる体験は、これまでもあったが、醸し出す独特の雰囲気は円熟し、客席で感じる爽快感は、例えるなら、雲の上から地上を俯瞰するような、圧倒的に雄大な大地を、繊細に描写するような、そんな壮大な音楽だった。
 オケと指揮者とソリストと、観客も一体となって完全燃焼した、真夏の夜の、夢のような時間だった。
ドヴォルザーク・セクションⅠ
 序曲「自然の中で」作品91
 チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
 交響曲 第7番 二短調 作品70
指揮:高関健、独奏:岡本侑也
ザ・シンフォニーホール
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