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タンホイザー 二期会 [オペラ(国内)]

 本公演はダブルキャストで、聴いたのは題名役が片寄氏の土曜日の方。片寄さんの声は良く通り、美しい。幕が進むにつれて舞台は良くなり、2幕3幕は音楽も盛り上がって、ローマ語りで頂点に達したと思う。しかしながら、舞台は生もの、1幕はどういうわけか音程が悪く、ヴァルトブルグで騎士たちに出会うまでの舞台は言いようのない状態だったと思う。オケも調子が出ない。指揮者が穏やかな音楽づくりが得意な印象なので、ヴァーグナーはどうなのかなという気もしてきたほど。
 弦の人数を減らしてピットを広く使い、ピット上舞台の高さで左右に紗幕を張り、左にハープ2台と大太鼓(に見えた)、右は2幕の歌合戦のファンファーレのバンダ席となっていた。序曲に続くバレーの場面(バッカナール)は、必ずしも、皆が大好きとは限らず、今回はどんな事情があったのか、残念ながら、動きがない音の羅列に感じられた。比較してよいかどうか、ペトレンコや、ティーレマンはこの部分の音楽にとても工夫をこらしている。
 個人的には、好かったのはヴォルフラムで、舞台を引き締め、リードしていたと思う。
 コーラスは、見たところ、人との間の距離をとっており、三澤先生のご指導で、新国立劇場のように美しく声がそろい、素晴らしかった。
 もう一方のキャストの出来栄えがどれ程なのか分からないが、ダブルキャストで舞台の質が下がるのだとしたら残念なことだ。二期会はめったに聴く機会がないが、経営はどこも大変なのだろうが、せっかく大掛かりな舞台上演するなら、もう一歩、上を目指していただきたい。
 タンホイザーは男声合唱が本当にすばらしい作品だ。席が5階で、キース・ウォーナーの舞台演出は、よく見えなかったが、別に構わないという気分。演出補のキルシュバウムさんが、バイロイトからリモートで指導したという話を聞いていたが、周囲から演出に関する良い感想は聞かれなかった。
 最後は音楽も高揚し、やっぱりヴァーグナーを聴けて好かったと思った。日本に長期滞在しているマエストロに対しては、ここまで引き上げてくれたことへの感謝と、日本のヴァーグナーはまだこの段階です・・という恐縮な思いとが、ないまぜな心境だ。

演出:キース・ウォーナー
指揮: セバスティアン・ヴァイグレ
ヘルマン 狩野賢一
タンホイザー 片寄純也
ヴォルフラム 大沼 徹
ヴァルター 大川信之
ビーテロルフ 友清 崇
ハインリヒ 菅野 敦
ラインマル 河野鉄平
エリーザベト 田崎尚美
ヴェーヌス 板波利加
牧童 吉田桃子
4人の小姓 横森由衣(全日)
金治久美子(全日)
実川裕紀(全日)
長田惟子(全日)
東京文化会館
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