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「フィレンツェの悲劇/「ジャンニ・スキッキ」 [オペラ(国内)]

 フィレンツェの悲劇は初体験。1時間ほどの作品なので、一応音源を聞き、リブレットを読んでから新国立劇場へ向かった。原作はオスカーワイルド。作曲者を知らずに聞けばリヒャルト・シュトラウスと信じてしまうほどよく似ている。大編成のオケが必要な作品で、広い劇場では、音楽と発せられた言葉だけでは気持ちを表現できず、演劇の要素も大事だとまず感じた。これは、R.シュトラウスが小編成のオーケストラのオペラ作曲に向かった理由の一つでもあるようだ。
 ドイツのオペラは長々心情を吐露するもの。ツェムリンスキーはドイツ人ではないが、個人的には、シモーネが若い妻を諭し、「世の中を知り、冬になって知恵はやってくる」というあたりが、ホロっとくる。ちょっとストレートな感じはするが。
 一方プッチーニの方は、大分以前のことだが、トスカの最初の方で、絵に嫉妬する場面の台詞で、ドイツ語に翻訳された字幕に笑いが起こったことがある。
 さて、当日、フィレンツェの悲劇の舞台美術は暗めのシモーネの家。豪華で美しく、アルコーブという部屋の作り以外は、ト書き通りで、広い舞台に3人だけだ。新国立劇場の4階席からでは双眼鏡を覗いても、歌手の表情までわからず、年齢とともに、レンズの倍率も上げねばならないと実感した。一階席前方なら、音楽と演劇を十分楽しめただろう。
 ジャンニ・スキッキの舞台設定は巨大な書斎机の上で、大きなペンや本、小物棚、小皿の上のクッキー、コイン、天秤などからが配置され、その周りを小人サイズの歌手が賑やかに動きまわり、時に机の引き出しに隠れたりする。大きな遺書を皆で開き、覗き込見て騒ぐ場面は、この手の巨大舞台セットの効果がよく発揮されている。
 ジャンニ・スキッキ役カルロス・アルバレスは素晴らしく、東京で本物を聴かせてもらえてありがたい。日本人キャストも皆好かった。オケは部分的には綺麗だが、一体感が追いつかず、プッチーニのスカッとした音の響きまでは味わえなかった。

フィレンツェの悲劇
グイード・バルディ:ヴゼヴォロド・グリヴノフ(テノール)
シモーネ:セルゲイ・レイフェルクス (バリトン)
ビアンカ:齊藤純子(ソプラノ)

ジャンニ・スキッキ
ジャンニ・スキッキ:カルロス・アルバレス(バリトン)
ラウレッタ:砂川涼子、ツィータ:寺谷千枝子、リヌッチョ:村上敏明
ゲラルド:青地英幸、ネッラ:針生美智子、ゲラルディーノ:吉原圭子、
ベット・ディ・シーニャ:志村文彦、シモーネ:大塚博章、
マルコ:吉川健一、チェスカ:中島郁子、スピネッロッチョ先生:鹿野由之
アマンティオ・ディ・ニコーラオ:大久保光哉、ピネッリーノ:松中哲平、グッチョ:水野秀樹

指揮:沼尻竜典、演出:粟國 淳
東京フィルハーモニー

『フィレンツェの悲劇』/アレクサンダー・ツェムリンスキー
全1幕<ドイツ語上演/字幕付>
Eine florentinische Tragödie / Alexander ZEMLINSKY
『ジャンニ・スキッキ』/ジャコモ・プッチーニ
全1幕<イタリア語上演/字幕付>
Gianni Schicchi / Giacomo PUCCINI
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