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バイロイト音楽祭2017 トリスタンとイゾルデ(8/16) [オペラ(海外)]

 この日、客席がやかましく、出だしが聞こえなかった。チェロも3回目の跳躍で音を外したので、これではティーレマンもご機嫌が悪いかと思いきや、前回、メルベートがイゾルデを歌ったときとは、全く違う、ドラマティックな方向に音楽が進んでいった。ラングも面目躍如の演技だった。これが、今年の本物だったのかと納得。感情むき出しの演技と、うねりのあるティーレマンの音楽に、心かき乱され、この気分を逆撫でする暗い舞台から、美しい何かを発見したいという思いに駆られた。これが、本来の上演の方向であれば、演技が必用なのが分かる。前回はティーレマンも我慢して、美しくまとめたのだろうと想像した。初年度のヘルリティウスの絶叫が強く印象に残っているが、ラングはさほど気になる絶叫は無く、激しい情念に燃えるイゾルデを演じ切った。
 前回の舞台と比較すると、やはり、穏やかな美声よりラングの情念の方が説得力があり、このプロダクションには適任であると思った。毎年演出は少しずつ変化する。このプロダクションには、多くの人にとって共感しがたい人物像があり、ひょっとして、これから意外な方向へ演出が変化するなんてことも、あったりするのだろうか。
 ただ最後に驚いたのは、3幕まだ幕が降りきらないところで、フラブラ、ではなくフラ拍手があったことだ。Metならともかく、まさかバイロイトで、しかも棒を下ろすまで、拍手を許さないティーレマンの背後で ! マエストロがニコニコとカーテンコールに登場してくれて、ほっとした。邪推すれば、前回一回抑えざるを得なかった分、この日は、客席に関係なく、自分から燃焼したかったなんてことはないだろうか。2回聴けたからこそ、この日の感動は格別だった。
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