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東フィルオペラシティ定期シリーズ-岡本侑也/ドヴォルザーク・ チェロコンチェルト [コンサート]

 東京フィルハーモニーのオペラシティ定期で、岡本さんが、ドヴォルザークのコンチェルトを演奏した。感動体験を一言で言うなら、ドヴォコンが自己顕示から離れ「捧げる」音楽として聴衆に届けられた幸福。
 一楽章の第二テーマで、一気に岡本さんの音楽の世界に引き込まれた。こんな風に違いが溢れでるのかと。一般的に、聴衆の期待値には、超絶技巧を堪能できるかどうかという段階があるが、岡本さんの演奏は、そういう緊張感とは無縁で、聞き手は一貫した安らぎと余裕の中で、楽譜を超えた語りの世界を体験する。比較的舞台近くで聞いたのだが、お芝居に例えるなら、「一言一句魂の入った表現」を音楽で創造しているようだった。
 テクニックに裏打ちされたという言い方も良く聞くが、岡本さんの超絶技巧のご披露は、もう子ども時代に済んでおり、それは練習量や器用さ、耳の良さだけではなく、作曲家の音楽に、自分自身を捧げることを許された者だけに備わる才能である気がする。自然のままの流麗な音楽の中に、微妙な揺らぎを表現できるのは凄いことで、これは、演奏者の都合ではなく、楽譜の中の音楽が表現者をそのように導くのだと思う。こんなに詩情豊かなドボコンを聞いたことがない。ソリストの音楽が、曲をリードする印象だった。きっと東フィルの方々も岡本さんの音楽に共感したのだろう。指揮者でも、全身全霊を芸術に捧げているとき感じるとき、その純粋さに自分は感動を覚える。
 二年前に聴いた岡本さんのドボコンも美しいと思ったが、その後ヨーロッパでさらなる経験と研鑽を積み、益々音楽の魅力が拡がったのだろうと感じた。コンマスに送る鋭い眼差しに、機が熟するという言葉が頭を過ぎる。 
 
指揮:尾高忠明
チェロ:岡本侑也*
ドヴォルザーク/序曲『謝肉祭』
ドヴォルザーク/チェロ協奏曲*
ドヴォルザーク/交響曲第8番
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