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トリスタンとイゾルデにおけるエニグマ [その他]

 慶應義塾大学名誉教授三宅幸夫先生の、音楽学の立場からの、トリスタンにおける謎めいたものについてのお話を聞いた。個人的には、危険な香りのするトリスタン..という作品にはあまり深入りせず、心酔しないよう心がけてきた。トリスタン..には「陶酔」という言葉が似合う。自分を見失うことが怖い。しかし年内に、当事者として「前奏曲と愛の死」を演奏することになり、たがが外れた。トリスタン和音の中に入り、謎めいたものを堪能しても良いと覚悟した。
 三宅先生は、パルジファルのときのように、高揚する和声進行と転調を淡々と解読して下さる。複雑にからみあった和音と幾つかの動機が同時進行し、それらの相互のぶつかり合いが、謎めいている(エニグマ)ということだそうだ。
 例えば2幕夜の歌の伴奏のリズム、聞いていていつも拍がとれなくなり気持ちに不協和を起こすのは、三連符と二連符が組み合わさっているからだった。聴覚の錯覚を誘う和音展開も明確に定義される。日本語訳について、原語でも曖昧なものに、分かりやすい日本語を無理にあてがうのは如何なものかというお話もあった。
 オケの中で、心揺れる和声のパーツを分担し、最高の効果を得られるよう、期間限定で、この曲と深く付き合っていこうと思う。トリスタン和音をもっと身近に味わえるよう、自分のタブレットにピアノアプリを入れた。(G)
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