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新国立劇場ーパルジファル [オペラ(国内)]

 満を持して登場した新国立劇場の「パルジファル」だが、期待しない、がっかりしないという心構えで臨んでいても、やはり残念な気持ちが残る。
 歌手陣はさすがに、それぞれ素晴らしかった。トムリンソン、フランツ、ヘルリツィウス、皆余裕があった。クリングゾルのロバート・ポークの甘い声と、豊かな声量が、良く通って気持ち良かった。オケの方は、総じて間が持たないのは何故だろう。演出に動きが無いせいもあるが、グルネマンツが登場した瞬間から、音楽の出を待つ感じが伝わってきた。一番気になったのは、一幕のクンドリが慌ててやってくる場面の音楽、リズムが甘いのか、小節ごとのクレッシェンドが無かったせいか、盛り上がらない数小節の後、クンドリが登場した。各場面の練習は丁寧にしたのだと思うが、音楽も空間も連続している。音が途切れても間は生きているのに、残念ながら、幕が上がっている間、隅々まで意識が及んでいる演奏とは感じられなかった。金管の音はどうしてあんなに全開なのだろう。アマチュアでも締まった音を目指すものなのに、音量が必要だったのか、良くわからない。男声合唱はいつものように上手だったが、重苦しい劇中の雰囲気にしては、軽快で美しすぎた気がする。
 お金のかかったLEDの光る道は綺麗だったが、席が下手側だったので、左奥の演技は何も見えなかった。2幕最後のクリングゾルは見えなかったが、聖槍が下から上がってきたところだけは見えた。
 僧侶から慈悲を受け、苦難を乗り越え仏の悟りを開くという選択肢を示した演出は日本人にはわかりやすい。ベルリンでのクプファーのパルジファルは見ていないので、比較はできないが、槍の先が動く舞台は、リングも含めれば、視覚的には馴染んでいる気がする。ともあれ、東京でパルジファルを体験できることは、有難い。(G)
DSC09190.JPGDSC09191.JPGDSC09180.JPGDSC09181.JPGDSC09200.JPG  飯守先生は、場所によってはかなりゆったりめのテンポ、かつ金管を盛大に鳴らしていたが、オケが意図を理解していないというか、オケピットに覆いのあるバイロイトではないのだから、ただ徒らにデカく吹けば、ぶち壊しになることを分かって欲しかった。                                    演出は何とも捻りが無く退屈、3人の僧侶は3匹のワニに対抗して、最後グラールを叩き割るかと期待したが、何事も無く終わった。                                          昨今の過激な読み替え演出に批判的な方は、安心して見ていられたのだろうが、私には刺激が足りない。情報過多で居眠りするヒマも無いバイロイト・ヘアハイムや、捻りの効いたグート演出が懐かしい。         歌手は皆さん素晴らしかった。特にクンドリのヘルリツィウス、絶叫系の歌手と思っていたが、1幕と2幕の豹変振り、歌は勿論演技、1幕は全くのスッピンで出てくるプロ根性も凄い。(B)
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