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第2回「チェロの日」 チェリストの集い [チェロ]

 日本チェロ協会の催しがあり、二日目を聴講した。
 初めにルイス・クラレット先生のマスタークラスがあり、伊藤裕さんが、バッハ無伴奏組曲3番から、鈴木皓矢さんが、6番からレッスンを受けた。さすがのアドヴァイスで、弓の支え方、自分の音を聴くこと、体を楽にすることなど、どんどん音が変化していく優秀な生徒さんを見て、音楽を表現する心と体のバランスの難しさを改めて思い知らされた。クラレット先生はもう何年も日本でマスタークラスを開催されており、昨今学生さんのレヴェルがとても高くなっていて、日本の先生方にも感謝していると、コメントがあった。
 次はオーケストラスタディ。何をするのかと思ったら、今回はPizzの勉強。アマチュアがよく弾くオケの曲の中で、幾つかのパターンを、約70人のメンバーにオケプレーヤー幸田有哉先生が教えて下った。我々アマ奏者がPizzを真剣に習う機会はあまり無い。基本柔らかい音は親指で、発音を明確にしたいときは、中指ではじく。とはいえ、楽器の鳴りやすい場所、出したい音色を追究すべしということだ。
 
 70人のチェロ合奏の前に、正規にプログラムには無い3人の素晴らしいソロ演奏があった。昨年の日本音楽コンクール優勝者、岡本侑也さん:黛敏郎「文楽」、同じく全日本学生コンクール優勝者、上村文乃さん:「バッハ無伴奏組曲3番プレリュード」、そしてクラレット先生:P.カザルス弟「E.カザルス作曲の無伴奏組曲より」
 「文楽」の和の音色と和の音程が本当に素晴らしかった。浄瑠璃に詳しくないが、重い響きの太棹の三味線でバチの音を表現した指板に当たる弦の音が、琵琶の音にも似て激しく迫ってきた。歪んだpizzもarcoの音もチェロの演奏だと忘れるほど、異質な日本の音の中に引き込まれた。これほどの「文楽」はなかなか聴けないのではないだろうか。
 上村さんの魂のこもったバッハは、近くで聴いて、ほとばしる若いエネルギーを全身に浴びたような気がする。クラレット先生は、音楽の安らぎを与えて下さった。
http://oncon.mainichi-classic.jp/common/concert2011.shtml日本音楽コンクール 受賞者発表演奏会 
http://www.jti.co.jp/knowledge/arthall/performance/ensem/schedule/62/index.html若きチェリストたちの響演Ⅳ5/25 

 いよいよ、総勢80人のアンサンブル。最大8パートに分かれる。前と後にプロの先生方も加わった。コンマスは堤剛先生、お隣が岡本さん、2番頭はクラレット先生、お隣は幸田先生。とても楽しい演奏だった。堤先生の素晴らしい音が、重厚なアンサンブルを突き抜けるように、皆をリードしていたように思う。客席と演奏者がとても近くて一体感があり、皆いっしょに燃焼した。(G)

マスタークラス:ルイス・クラレット
オーケストラ・スタディー講師:幸田有哉
全体アンサンブル指揮:山本祐ノ介
曲目:カザルス|サルダーナ、C.ガルデル|首の差で、カッチーニ|アベ・マリア、サティ|ジュ・トゥ・ヴ
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