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ベルリン国立歌劇場-地獄のオルフェ シラー劇場 [オペラ(海外)]

 ベルリン国立歌劇場が工事中の間、西のドイッチェオパー近くのシラー劇場で公演している。初めて劇場に入ってみたら、とても狭く800席とのこと。ここでリング上演するなら、通路に立ち見席を作っても、チケットは売れると思った。
 始まると、奥から「世論」役が現れ、大統領のクリスチャン・ヴォルフです、と退任騒ぎのネタで政治を語り始めた。はじめのうちは、笑いが起こったものの、オペレッタのはずが、あまりの長さに、客席からはWeiter!とかOper!とか野次が飛び始めた。すると「もう、やめなきゃいけないのかね・・」と言いながらさらに続け、いつしかお客さんをとりこんで、したたか喋り、しかたなくお客さんもおつきあいした。オケはどこにいるのかと思ったら、舞台奥のセットの扉が前へ倒れ、20人ほどのバンジョー入りのオケが現れた。舞台セットは飛び出す絵本のように、前側にページを開くと、折りたたみセットが現れてくるところは、小さい劇場ならではの演出のようだ。二幕ではハエになったジュピターを宙ずりしたり、カンカン踊りは、観光地で顔だけ出して写真をとる書き割りのような絵で、足の代わりに手に靴を履かせ、動かす演出だった.前にケルンのパルジファルで花の乙女たちが手袋をはめた手だけで表現されていたのを思い出した。
 出演者は殆どが俳優で、これは、オペレッタというより、演劇のようだった。本来フランス語の台詞もドイツ語に新たに翻訳されたそうで、ベルリナーアンサンブルで見る顔が、私が知っているだけでも3人いた。幕間に配役表を見たら、オルフェウス役が三文オペラのメッキーメッサーで、歌舞伎役者のようなナルシストのような魅力を発していた、シュテファン・クルトだった。俳優っていろいろな役作りができるものなんだと、変に感動してしまった。
 ラ・ペリコールはパリのオペラコミークとベルリナーアンサンブルで観たことがあるが、演劇では音楽をかなりカットしていた。そう考えると、この地獄のオルフェは、生の音楽を基本に、さらに演劇を加えた、新しいオペレッタなのだろう。(G)
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 基本的にオペラでなく演劇で、エウリュディケ役のソプラノ以外は全員俳優が演じ、歌もマイクを付けて地声で歌っている。代替会場とはいえ、国立歌劇場の公演だから少々驚きで、昨年12月16日のプレミエなので、事情を知らないで来た現地の人もいるだろうし、当日来ていた日本人の団体客もどう思ったか?
 ただ、筋は原曲をはずさずやっているし、ドイツ語が分からなくても舞台上のドタバタを見て結構楽しめる。ドイツ人にも大受けだった。(B)
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