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チェロ・コングレス・イン・ジャパン 2011 オープニング・コンサート [チェロ]

 日本チェロ協会ならではの企画「マエストロから気鋭の若手まで6人のチェリストたちによる無伴奏チェロ組曲の競演」というというコピーの通り、6人の個性が光る緊張した空気の演奏会だったように思う。前の演奏の余韻を味わう間もなく、次々と演奏者が出てくる。マエストロの方々は前世紀から何十年も演奏家を続けておられる。果たして何回バッハ無伴奏の本番を経験されたことだろう。そんな先生方が育てた次世代の若い演奏家とって、日本のチェロ仲間が聴衆として自由に聞き比べることのできるこのステージは、珍しい機会ではないだうか。
 チェロに対する真摯な思いが聞き手に伝わってきて、一曲の向こう側に弾き手の人柄がやっぱりにじみ出てくるものだ。初めて聴いた人なのに、音楽を通して聴衆と会話するってありえると今日は感じた。
 
 鈴木先生がチェロという楽器と作品の原点を追究され現代のバッハ第一人者として、ピリオド楽器で一番の難曲「5番」を弾かれた意味はとても大きいと思う。先生のお話を聞いた人は口をそろえて、「目から鱗が・・」と言う。昔、バッハの奏法はある意味自由だと言われていた。今日では研究が進みバッハの音楽の常識も変化し、今やいろいろな規則性をコンピュータにインプットしたら作曲当時の音を再現できるかもしれない。それでも、やっぱり、これからも、若者が生涯をかけて弾き続け、コングレスのテーマのように後世にリレーされて行くのだろう。
 アマチュアでも努力すれば楽譜から大切なことを読み取ることができ、奏者各々の人間を通して何か語りかけてくるこの作品はやは、やはりチェロ弾きのバイブルだなあと、この四半世紀を振り返って、あらためて確信した。
J.S.バッハ作曲 無伴奏チェロ組曲
第1番 ト長調 BWV1007 :岩崎 洸(桐朋学園大学院大学教授)
第2番 ニ短調 BWV1008 :岡本侑也(ガスパール・カサド国際チェロコンクール奨励賞)
第3番 ハ長調 BWV1009 :倉田澄子(桐朋学園大学教授・日本チェロ協会評議委員)
第4番 変ホ長調 BWV1010:中木健二(ルトスワフスキ国際チェロコンクール第1位)
第5番 ハ短調 BWV1011 :鈴木秀美(バッハ・コレギウム・ジャパン/オーケストラ・リベラ・クラシカ/
東京藝術大学古楽科講師)
第6番 ニ長調 BWV1012 :加藤文枝(ビバホールチェロコンクール 第1位)


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Andante con moto

各曲を異なるチェリストが演奏するバッハ無伴奏チェロ組曲全曲演奏会。
とても興味深い企画。ブルーローズに出掛け、演奏を堪能いたしました。
(^_^)(^_^)(^_^)(^_^)(^_^)(^_^)
鈴木先生の第5番の演奏では、自分がバッハの時代に”タイムワープ”
したかのような感覚にとらわれました。”ミーアキャット”みたいな姿勢に
なって夢中で聴いていました、少しはずかしい(笑)。
チェロコングレスに参加されたチェリストの方々、そして研鑽を積んで
おられる若い世代の方々の今後の活躍がとても楽しみです。
by Andante con moto (2011-02-14 00:02) 

Gruen

コメントいただき、どうもありがとうございます。
若い方々の未来の可能性に思いを馳せ、胸がいっぱいです。
by Gruen (2011-02-15 00:08) 

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