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ドン・カルロ METライブビューイング [映像・放送]

 メトロポリタン歌劇場のライヴ録画シリーズ、2010年12月11上演(新演出) ヴェルディ ドン・カルロ5幕イタリア語版を見た。ドン・カルロは元は仏語、4幕版5幕版など色々ある。新国立劇場は4幕、ドレスデンも4幕、コンヴィチュニー演出のハンブルグは5幕版でIntermezzo(寸劇)が入り、これが大笑いするほど面白かった記憶がある。
 ドン・カルロ役のロベルト・アラーニャはイタリア系フランス人で、仏語でドン・カルロを歌ったこともあるとインタヴューで言っていた。これだけ大画面で歌手の顔をが映し出されると、やはりどんな人なのかなと興味がわいてくる。鼓膜がビリビリ振動するほどの音量で放映されるので、せっかくの美声を聴くのも難行となる。なんで映画はいつも大音量なのだろう。
 エリザベッタ役のマリーナ・ポプラフスカヤは初めは地味目だったが、上り調子で最後の「世のむなしさを知る神」アリアは素晴らしかった。皆映像に耐える演技派だ。ルックスも良く、歌は勿論、映画として楽しめる大作だ。オケの音はラインの黄金でも感じがことだが、割と軽視されていて、4幕のチェロのソロの裏のVnはかなりぐちゃぐちゃ、5幕でも細かいところは同様に崩れていたが、所詮バックグラウンド音楽なので気にしてはいけない。それより、登場人物がみな主役級の実力を要求され、難しい重唱も多く、隅々まで満足のいく舞台に出会うこが少ない大作をMETの実力と技術で堪能できて、たまっていた不満が解消できた。宗教裁判長も恐怖もフィリッポ2世の嘆きも迫りくるものがあった。
 ヴェルディ特有の話の飛躍が、やはりこころもとなく感じるが、史実と虚構が混在する作品構成は仕方ない。幕切れはカルロ5世が墓から現れ、フィリッポ2世と王妃を見てその間に立つシーンだった。オリジナルはドン・カルロが墓の中に連れて行かれるのだが、今回は敢えて当然の結末を見せず、決定的に全てを失くす一瞬前の警告で時間を止めたということだろうか。或いは改心してやり直せる望みを誰かに残しているのだろうか。
 映画として面白かったのは、幕間の舞台裏で、実際本番中であるかのような雰囲気で出演者にインタヴューするところだ。映画館の休憩時間まで映像で設定されているのか、METの3階席あたりから舞台に向かっている位の視界の映像が流れており、オケピットで練習する音など聞こえて、臨場感が味わえる。休憩残り時間のタイマーも右下に出ている。インタヴュアーが次の演目「西部の娘」の出演者で興味を繋ぐように出来ているのもさすがだ。客席の有名人たちをアップで映し出ので、収録の日にサイモン・ラトルご夫妻がこの同じ舞台を見たのかなと想像するのも楽しい。(G)
 
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