宮田 大 チェロリサイタル ＨＡＫＵＪＵ ＨＡＬＬ

　人間が好き、聴衆と対話したい、自分が感動したことを伝えたい、そんなタイプの愛すべきチェリストに出会えた嬉しい気持ちで帰宅し、プログラムの挨拶を読んで、まさに本人の意図するとことだったのだと、嬉しさもひとしおだった。「今の時間、今の空間、今の感動を来場者といっしょに味わえる・・」というような書き方をされていて、演奏中ずっと、聴衆と共有したいという気持ちを送り続けてくれていた。
　博愛精神を感じ、気持ちの優しい飾らない人柄なのだろうと伝わってくる。魅力的なチェリストというより器の大きいアーティストという感じだ。
　すべて作品の音楽表現は勉強以外にアーティストのインスピレーションや、人生経験、人生観、知性など総合的な人間性だと思う。ロストロポーヴィッチコンクールで日本人初の優勝者として多くの人に知られ、私も今晩こうして日本人離れした、解き放たれた感性に出会えてとても幸せだ。まだ２５歳くらい、これからもっと素晴らしい人生が待っているのだろう。毎年一度聴き続けていけたらいいなと思う。（Ｇ）