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新国立劇場-こうもり [オペラ(国内)]

 「こうもり」を当日F券で見てきた。オペラトークの時、ノヴォラツキー氏が本場物のウィーンの舞台を見せると自信を持って言っていたとおり、文句無く楽めた。歌手陣も皆4階の最後列まで声がよく通り、言葉もはっきり聞こえ、演技も上手で、自然だったと思う。特に、アイゼンシュタイン役のブレンデル氏はノリノリの俳優並みの演技で、楽しませてくれた。台詞に日本語を交え、日本食、焼酎も登場し、自然に笑える。かと言って、受け狙いのドタバタにはなっておらず、「ご当地もの」を入れて、オリジナリティを出した日本のこうもりとしては、もう一度見たいと感じる舞台だ。
 例えば、一幕、アルフレードは日本人テノールという設定。入獄前の夕食には、出前、寿司、刺身などの言葉がとび出し、三段のお重が運ばれてくる。二幕、アデーレ姉妹の会話はお国言葉の日本語だ。ロシア語、怪しいフランス語が笑いを誘う、多民族のパーティーに日本語があってもおかしくないだろう。三幕の看守は焼酎がお気に入りだ。
 ワルツもとても自然で、練習熱心な明るいキャラの指揮者がどんなことをオケに要求したのか、興味深い。世界で大活躍の中嶋彰子さんの声量・発音・演技全て感動もので、将来、スープレット役には日本人が最適という時代が来るような気がする。音楽でも、まず演奏者が感動せずして、聴衆を引き込むことはできないというが、今回はまさに演者・奏者自ら楽しんで、それが聴衆に伝わってきた、日本離れした雰囲気の公演ではないかと思う。(G)

 プログラムのツェドニク氏言によれば、「アール・デコ」を取り入れた美術とのことだが、それにしては妙に安っぽい書割が多い。予算の都合か?確かに合唱陣の衣装は、ひとりひとり相当凝ったものだったが、それが分かったのはカーテンコールで全員並んだ時。2幕大宴会の場面では、奥の方で良く見えなかった。
 演出は日本の小物を随分と取り入れたものだったが、いっそのこと今話題のヒルズ族版はどうか?アイゼンシュタインはホリエモン、オルロフスキは村上氏、フランクは地検特捜部か?アデーレはアキバ風メイド服で決まり!
 歌手では、ブレンデルがはしゃぎ過ぎというか、暴れまわっていた。歌は見事!ファルケ役が2枚目で善良そう過ぎて影が薄かったが、その他の歌手は皆素晴らしかった。特にツィトコーワと中嶋さんには拍手。
 音楽も、素朴なウィーンの香りを醸し出していた。トランペットに主旋律を吹かせたり、普段我々が聞いているものと版が違うのだろうか?(B)


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yukirdam

「こうもり」の中に、寿司や焼酎が登場するなんて!
やっぱり海外公演の時は、そうやって地元を意識してアレンジしたりするんですね。
ヒルズ族版、面白すぎです 笑 ホリエモンにアキバ系メイド服…隅の方に、ひそかに電車男とかも登場させたりして^^;
by yukirdam (2006-06-20 18:10) 

euridice

こんにちは。
来週行く予定です。この記事でますます楽しみになりました。
by euridice (2006-06-21 08:32) 

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