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「こうもり」オペラトーク [オペラ(国内)]

 2006年度最後のオペラは、満を持してオペレッタ「こうもり」だ。ノヴォラツスキー氏が演出家ハインツ・ツェドニック氏、指揮者ヨハネス・ヴィルトナー氏を招き、オーストリア人三人でドイツ語でのトークだった。指揮者はヨハン・シュトラウスⅡの第一人者、来日経験も豊富だ。ツェドニック氏は歌手より知性派演出家という真面目な印象だった。
 こうもり序曲のフェルマータの長さについてノヴォ氏が指揮者に質問すると、フェルマータは料理の香辛料のようなもので人の好みであり、お寿司のわさびの量を例に説明してくれた。とても楽しい人柄のようだ。
 ヨハン・シュトラウスⅡがウィーンの市民に音楽を浸透させ、今日の「音楽の都」というイメージを作ったこと、こうもりに演出上の「読み替え」は必要ないこと、人間の憎しみ以外の感情はすべて表現されており、見た後に昨日より今日の方が素晴らしいと感じるような、オーストリア流の退屈しないオペレッタを造ると、三人で力説したことが印象に残った。
 客席からの今後の要望に対し、ノヴォラツスキー氏は切実に訴えた。良いオペラを作る条件は3つ、一にお金、二にも、三にもお金なのだと。劇場の予算を削られていることは何となく聞いていたが、最近漏れ聞こえた話によると、プレミエ後のレセプションをやる予算も削られて、インテンダントが自腹を切っているそうだ。
 新国立劇場の価値って何だろうとかと思う。新しいプロダクションに財源を投入するのはよいが、聴衆の一人として、舞台装置だけが豪華な日本人の新作オペラはもうやめてほしい。プレミエ批評は新聞に載るが、その後当事者としての反省は無いのか問いたい。日本人歌手を育てることには賛成だが、海外から帰る度に感じる舞台の豪華さには、少し異常な感じさえする。少なくともドイツでは、お金は無いが工夫しているという熱意が伝わってくる。でもここはどの演出家も喜ぶように、コンサヴァでやることが条件なのかなとは感じるが、やりたい放題だ。
 民間人から言わせてもらえば、もしプロダクションごとに会計報告があるのなら、お金の使途が適切であったかどうかも検討してもらいたいものだ。(G)


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