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ミュンヘン-ティーレマン・ブル7とコンヴィチュニー・トリスタン [オペラ(海外)]

 18日で授業が終わり、旅行者として、ミュンヘンへ来ました。解放された気分です。ガスタイクでティーレマンのブルックナー7番を聴きました。前半も全て暗譜でした。ホールも音が良く分離して聞こえ、大満足です。たまらない美しさでした。(会場にはやはり、ドミンゴで出会った、指揮者と懇意な日本人の姿がありました。)
 ティーレマンは、本当に「間」が素晴らしいと聴く度に思います。昔聴いていた巨匠の音楽のような、伝統的な演奏をするので人気があるのです。
 去年ベルリンでアイスラー音大生にブラ1の公開レッスンをし、舞台裏の席から私も練習に参加したような気分になり、ベルリン最高の夜でした。「間」というか、フレーズ途中の「ため」を教えるのです。彼らは若いから最初どんどん先へ行ってしまうのですが、さすがすぐに、マスターしました。
 これは、我々日本のアマチュアオケにはとても難しい技なのです。この前某オケで体験した指揮者は、この伝統的なドイツ音楽を目指しているのだと思います。流れたり、留まったり、一呼吸の中で一瞬待つような、難しい練習をたくさんしました。
 本番はともかく、演奏当事者としては初体験だったので、どきどきして、楽しい練習でした。

 さて、待望のコンヴィチュニーのトリスタン、演出が自然で素晴らしかったです。私には、全く違和感はありません。愛よりも死がテーマになっていて、最後は二人だけの世界になり、手をとりあって仲良く天国へ行く心安い幕切れです。涙が出てしまいました。
 でもその後最後に、棺が二つ並ぶお葬式の場面は必要ないと私は感じました。フランツもマイヤーも素晴らしく、フランツの演技は最高だといつも思います。
 ハンブルクのトレレーベンは正面を向いて歌うのが好きみたいで、たまたま偶然ですが、東京の黄昏で二人がジークフリートを歌ったとき、同じ演出で二人の演技の差にびっくりしました。

 デッキチェアーで寝そべっている演出と聞いていたので、どんなかと思いましたが、今まで見た4つ演出の中では一番感動しました。彼の演出がいつも自然だからだと思います。
  3幕のイングリッシュホルンの使い方も、舞台裏や、多分ピットからも聞こえたし男女二人の奏者が舞台左右から歩いてきて交互に吹いたり、単純な中に、想像力をかき立てる要素が潜んでいるという感じでした。3幕はトリスタンがスライドを使うのですが、ひょっとして途中で壊れたのではないかという気がしますが、初めてなので、分かりません。

 コンヴィチュニーの演出のときだけ、プログラムを買うのですが、彼曰く、トリスタンは二度死んでいるというのです。薬を飲んだ時点で、社会的な存在としてトリスタンは死に、3幕で生命を失い、でも二人の魂は生きているという訳です。
 今まで見たトリスタンとイゾルデは愛の方が強調されていて、私には理解できないと思っていましたが、死は自分に身近なものとしてとてもよくわかります。二幕のずっと分かれないという、美しいデユエットやジークフリートの最後の場面や、ワーグナーの「生き抜いた先に死がある」というテーマに惹かれるのかもしれません。


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