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日本ワーグナー協会例会 2021年バイロイト音楽祭新演出を中心に [講演会]

 対面式の例会が再開し、慶應義塾大学准教授北川千香子先生の、2021年バイロイト音楽祭の新演出さまよえるオランダ人の演出についてのお話があった。先生は現地には行っておらず、現地情報としてはバイロイト初の女性指揮者オクサナ・リニフさんとゼンタ役の評判がとてもよかったが、演出にはブーイングが出たとのこと。公開映像は初日のものなので、二日目以降、首つりの場面が削られたという話もあり、来年以降、演出に手が加えられることも大いに考えられる。
 この演出は幽霊船は出て来ず、ある田舎町で繰り広げられる復讐劇になっている。オランダ人が幼少の頃、売春で身を立てていたと思われる母が、ダーラントとも不倫し、村八分にあい首つり自殺する。それを幼いオランダ人が目撃しており、トラウマになって、成人してから、町の人たちに復讐するために戻ってくるというのが主な筋。前奏曲の間に前史が提示される。ただ、細かい部分で、つじつまが合わないと感じるところがある。
 またオランダ人とゼンタは婚約はするが、オランダ人の熱烈な愛の表現に対し、笑い飛ばすようなゼンタの演技になっている。ゼンタはこの閉鎖社会から抜け出したくて、オランダ人を利用するとも想像できる。
 マリーの役どころが原作と違っており、ダーラントの妻のようだ。3幕最後、オランダ人は集まっている町の人たちに対し発砲し、何人か倒れる。その後オランダ人はマリーに射殺される。ゼンタはマリーに駆け寄って気遣うが、救済らしいものは感じられない。
 救済については長いト書きがあり、原典通り昇天するような演出は現代にはないが、工夫をこらしている舞台もあると、いくつか紹介された。
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救済の表現が工夫されていると紹介された作品
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