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ピーター•グライムズ 新国立劇場 [オペラ(国内)]

 初めてブリテンのオペラを聴いた。ブリテンの曲で実際演奏したことがあるのは、 青少年のための管弦楽入門、 シンプル・シンフォニーのみで、多くの作曲家たちに対して、いつしか出来ている固有のイメイージは、ブリテンの音楽に対しては無い。そんな意味で、真っ新な気持ちで聞けるブリテンのオペラが、まだ幾つもあることは、嬉しいことだ。
 初めて接したペーターグライムスの音楽と、モネ劇場、英国ロイヤルオペラで採用された舞台について、初めプロローグの暗さと激しい音に困惑した。ある程度覚悟はして来たつもりなので、何を見たのかよく分からずとも、話の筋を了解して待つと、程なく光は差し、間奏曲からは美しさが感じられ、進むにつれて、どの間奏曲もとてもきれいだった。何となく、知っている音楽と似ていると感じたのは、ヴォツェックとカルミナブラーナだった。ショスタコーヴィッチも連想した。あちこちで美しいメロディーと、暗い激しい音楽が、重なって解け合わず進行していて、そのどちらか好きな方を選んで聴くことも許されているのかなと、ふと思った。
 小さな村の閉塞感、ゴシップの恐怖、エネルギーをコントロールできない自己の疎外感と虐待、これだけでも、私の世代には、現代社会に共通すると思う前に、少し前の話として、実感できる。やはりこの作品を見ることが辛い。日本のかつての白黒映画にも、こういうテーマはあるのではないだろうか。でも、社会派オペラとして貫いたことは凄いと思う。
 歌手は、心の内面を歌うので、表現力が要求される。あのフォークト氏も、歌い甲斐があると話していたっけ。
 プロローグの音楽こそが、価値があると言われれは、次回はその気で聴くけれど、あえて細かな舞台がなくとも、ストーリー説明だけで、もう十分言いたいことは伝わる気がする。音楽の音のイメージとして、金管の激しいところなど、もっとカラッと、突き抜けるように透明に演奏しちゃってほしいと思ったが、海辺のどんよりした風景の中、怒り、嫌悪感も陰湿なのかもしれないと、思いなおしたりしながら聴き終えた。
 ブリテンは20世紀の人なので、いくらでも作曲家本人の考え、行動など、正確に追うことができる。余計な想像はせず、まずは体験終了。(G)
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