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アントニオ・メネセスとチェロの名手たち(ヴィラ=ロボス プログラム) [コンサート]

 アントニオ・メネセスの演奏を聴くのは何十年ぶりだろうか。海外の国際コンクールで、演奏は聞けないが、審査員として列席されている姿をお見かけしただけだ。
 座席が舞台上のサイドだったので、8人中何とか5人までのチェロ奏者しか視界には入らなかったが、アンサンブルが素晴らしかった。皆さん師弟関係のこともあり、同パート二人ずつピッタリ合っていて、素晴らしいテクニックが快感だ。さらに、奏者を裏側の角度からも観察できて、充実したコンサートだった。強いて言えば、一番二番のメネセスと中木さんの音程の癖が異なり、少し残念な感じは残る。ソプラノの秦さんも美しい声だ。
 ヴィラ=ロボス没後60年とのこと。ブラジル風バッハは、昔ベルリンフィル12人のチェロ奏者がよく演奏してくれたが、もう歴史的な話となっているようで、ブラジル生まれのメネセス率いるヴィラ=ロボスを、今聴く生ことができ幸いに思う。
 メネセスは、やはり弾く姿が自然で美しい。チェロソナタ2番は前奏のピアノの響きがとても印象的だった。さすが田村響さんは好いなと思う。 
出演者
アントニオ・メネセス、山崎伸子、中木健二、向山佳絵子、遠藤真理、辻本 玲、伊東 裕、佐藤晴真(チェロ)
田村 響(ピアノ)
秦 茂子(ソプラノ)
曲目
J.S.バッハ:チェロ・ソナタ第3番ト短調 BWV1029
ヴィラ=ロボス:チェロ・ソナタ第2番
ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第1番
J.S.バッハ/ヴィラ=ロボス編:プレリュード BWV867(平均律クラヴィーア曲集第1巻第22番変ロ短調より)
J.S.バッハ/ヴィラ=ロボス編:フーガ BWV850(平均律クラヴィーア曲集第2巻第5番ニ長調より)
ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第5番
紀尾井ホール
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ルートヴィヒ・クヴァント チェロ公開マスタークラス [チェロ]

 日曜の晩のせいか、思ったより聴講者は少なかった。曲は、菅井さんがドヴォルザーク、山本さんがドン・キホーテ。受講生は事前に自分の先生などの指導を受けていなかったのだろうか。ドヴォルザークの楽譜に海賊版があることは聞いていたが、この日使用された楽譜の中の間違いを何点か指摘された。また、ドンキホーテでは、音の読み間違えを指摘されるなど、意外な場面があった。
 どちらの曲もテクニック的に最高峰だが、音楽で語る何かが無いと、エチュードのようになってしまう。音色で語ること、想像力を持つことの大切さを手取り足とり丁寧に指導され、クヴァント先生のお人柄が伺える。
 ドイツではよく終演後、演奏者がロビーに出て来てくれて、お客さんと話してくれる。クヴァントさんは人当たりが良く、質問をかわすようなことはされず、同じ目線で答えて下さるという印象を私は持っている。この日も休憩時間に、舞台から降りてきて、聴衆の皆さんの個人的質問に答えてくれていた。
 実は最近ベルリンフィルのデジタルコンサート映像で気づき、結構驚いたのだが、クヴァント先生は右手の小指あたりを輪ゴムで弓に止めて演奏される。この日間近に見て、先に弓に輪ゴムを括り付けてあり、ゴムの間に指を通すことが分かった。想像するに、無駄な力が抜けて、体から弓へエネルギーが伝わり、右手のテクニックにすごい効能があるだろうと思う。でも、普通の人がそんなことをしたら、小指の訓練をしているか、指を故障して弓が支えられてないのではないかと思われてしまう。誰だって、腕と弓が一体だったらいいのになと思うものだ。クヴァント先生だから新しい奏法として認められるのだろう。会場にいらした方に聞いた話では、以前直接指導を受けた生徒さんの感想として、輪ゴムで止めると、指がかなり痛いらしい。

サントリーホール ブルーローズ
受講生 :菅井 瑛斗、山本 大
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藝大フィルハーモニア管弦楽団ーマーラー/交響曲第5番 嬰ハ短調 [コンサート]

 昨年のマーラー7番が素晴らしかったので、今年も5番を聴きたいと思った。昨年も同じことに感激したのだが、音の分離が良くて、各楽器の音が鮮明に聞き取れる。高関先生の音楽とオケとこのホールの組み合わせは格別だ。
 マラ5を聴くのは久しぶりだったが、実は20代中ごろ初めて弾いたマーラーのシンフォニーで、超難曲の初マーラー体験に感動し、それから10年以上、一番好きな曲だった。パート譜もよく記憶しており、この日もつい熱くなってしまった。後年オケで再挑戦のチャンスがあったが、思い残すことは多い。
 3楽章のホルンの1番がソリストとして、舞台前方へ出て、指揮者の方を向き、コンマスとの間に立って吹いた。上手だった。これはマーラーの指定とのこと。さすが高関先生、初めて見る光景だった。金管Hr・Tp・Tb、皆さん充実した音が良く通って見事だ。作曲途中に、グスタフとアルマが結婚したそうで、5楽章は幸せの絶頂のハイテンション、短調の箇所が全くないというのには気づかなかった。表情記号も、ドイツ語からイタリア語に変わり、すっかり明るい雰囲気になるとのこと。作品の成り立ちを知り、これからは、懐かしい曲になって行くと思う。
 藤倉大さんの腸内細菌の音楽は、聴いていて苦しいところがなく、軽い音が動きまわる様が美しい。腸内フローラという言葉が頭を過ぎった。
会場:東京藝術大学奏楽堂(大学構内)
指揮:高関 健

曲目
藤倉 大/Glorious Clouds
マーラー/交響曲第5番 嬰ハ短調
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