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トゥーランドット オペラ夏の祭典 東京文化会館 [オペラ(国内)]

 バルセロナ交響楽団の正式名は、Barcelona Symphony and Catalonia National Orchestra。多分新国立劇場のオーケストラピットに初めて入る海外のオケだ。長い道のりだった。海外でも広く認められている指揮者大野さんが、ようやく芸術監督を引き受けてくれて実現した記念すべき公演。しかし、私はチケットを買えず、東京文化会館の公演へ行った。残念ながら舞台は良く見えず、4階サイドの席からは、舞台セットや衣装をはっきり認知するのは不可能で、物足りない気分だった。双眼鏡の視界を確保できる隙間すらない。もっとも、トゥーランドット姫だけは、最後以外、直立不動なので、聴いていてストレスは無い。
 オケは素晴らしかった。バルセロナ交響楽団を聞くのは初めてだが、印象として、しっかり大野さんのコントロール下にあるという印象だった。放っておけば、もっと強烈な音色で下品に金管も鳴らしたりはしないだろうか。そこが、この作品の特徴だと経験から思っていたが、この演奏は下品と上品の境にあり、幾らか上品な方に傾いていて、音も日本的に暗めの印象だった。プッチーニはどのくらいの音量を想定していたのだろう。改めて、一度スカラ座のトゥーランドットを聞いてみたいと思う。
 ピンポンパン登場のとき、まず、あれっと思った。意外と打楽器(シロホンみたいなアレ)がおとなしかったのだ。その後も、人情劇の繊細さを壊さないぎりぎりの線で、美しい大音量だった。
 演出はずっと台本通りのようだったが、最後に大きなアクシデントが起きる。
 歌手も皆素晴らしく、テオリンは勿論、カラフ役のイリンカイは初めて聞くが、ジークフリートを歌ってもらいたいような、声質だった。リュー役の中村理恵さんの声が、とても綺麗で優しく、か弱いリュー役には、これまで、あまりお目にかからないが、日本人の華奢な感じは、合っていると思う。
 気づけばトゥーランドットは10年以上、上演を聞いて(見て)いなかった。そのせいか、今さらながら、カラフは自分勝手かもしれないと気づく。ジークフリートの幕切れのような台詞で、ブリュンヒルデを追い求める場面と同じではないか。しかし、ここでのリューの献身的愛は美しく、非情なトゥーランドットを愛に目覚めさせるという原典の願いは美しい。

■トゥーランドット:イレーネ・テオリン
■カラフ:テオドール・イリンカイ
■リュー:中村恵理
■ティムール:リッカルド・ザネッラート
■アルトゥム皇帝:持木 弘
■ピン:桝 貴志
■パン:与儀 巧
■ポン:村上敏明
■官吏:豊嶋祐壹
指揮 大野和士
オーケストラバルセロナ交響楽団
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ピアノ・クインテット・コンサート~揺れ動く時代が生み出した渾身の五重奏~ [コンサート]

 国際音楽芸術振興財団の無料のコンサートがあった。18時に店に着くと、外まで行列が出来ており、しまったと思ったが、列は整然と進み、18時半に開場し、幸い一列目で聴くことができた。ヤマハホールは舞台が低く、室内楽を近くで聴くのに適していると思う。
 ピアニストの松本さんが演奏前に曲目解説をして下さり、無料コンサートに来る客層に不安があったようで、クラシックを聞くのが初めての人?と会場に声をかけるなど、正直なお人柄が垣間見えた。
 ショスタコーヴィチは内面の意味はともかく、初めて聞くには綺麗な曲だった。ホールの遠鳴り状況は分からないが、間近で聞く弦楽器3人の音色が合っており、Vn近藤さんの音色が綺麗でしかも少し甘い感じがとても美しかた。激しくとも弦の雑音が無いのはさすが。Vc江口さんの音が綺麗なのはよく知っており、期待通り、重量感と透明感を兼ね備えた、心地良いチェロの音だった。Vla も堂々とした音色で、5人のバランスも良く、Pfの温かな音はお人柄か、とても自然に音楽が流れていった。
 ドボルザークは、1Vnが上里さんに交代し、まさに模範演奏。充実した内声のハーモニーを堪能し、音楽の起伏と終盤の盛り上がりが凄かった。梅雨時にさわやかな演奏を聞かせていただいた。

銀座ヤマハホール
・ショスタコーヴィッチ ピアノ五重奏曲 ト短調 Op.57
・ドヴォルザーク ピアノ五重奏曲 第2番イ長調 Op.81 B.155 他
松本和将(Pf)安藤裕子(Va)近藤 薫 (Vn)上里はな子(Vn)江口心一(Vc)
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