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岡本侑也(チェロ) 変容する音魂 トッパンホール ランチタイム コンサート Vol.92 [コンサート]

 色々なホールや公共スペースでランチタイムコンサートが頻繁に行われるようになって、もう随分たつが、初めて自分も、30分のランチコンサートを聞くチャンスに恵まれた。場所はトッパンホール。昼間あの辺りを歩く機会もなく、江戸川橋からの距離が夜より短く感じられ、快晴の中、首都高を走るトラックの影が、頭上を通り過ぎるのは、奇妙な感覚だった。
 前半2曲を渋く演奏した後、一度舞台袖にもどり、最後は華やかな、ポッパー。BUNRAKUと、ポッパーは何度か岡本さんの演奏を聴いているが、この日の印象は、これまでになく大人っぽく、もう青年でなく、成年なんだと印象づけられた。ポッパーは特に、エンターテイナーとしての魅力も披露してくれて、音楽は変化しつつも、頂点までの一筋の道が途切れていないのが凄かった。よく、聴衆を驚かせる効果を狙うことがあるが、今回は、ちょっと違い、余裕を見せて聴衆を惹き付け、一瞬別の世界に連れだし、またすぐこの場に連れ帰ってくれるような、ジェットコースターのうねりの中に身を任せる感じが新鮮で、感心した。ピアノも、普段聞き慣れているこの曲の伴奏と違う印象で、かなり目だって、ピアノにも花を持たせるところが、心憎い 。大人っぽさは、ピアニストの色っぽい音楽に、応えたのかもしれないなと、楽しく想像しながらの30分、3曲とも趣が違い、充実した演奏会だった。
 残念ながら、1月のオペラシティのリサイタルB→Cを聞きに行けないので、きっと、こんな大人の雰囲気の演奏会になるのだろうなと思いをめぐらしている。

岡本侑也(チェロ) / 大須賀恵里(ピアノ)

ルトスワフスキ:グラーヴェ―チェロとピアノのための(1981)
黛 敏郎:BUNRAKU(1960)
ポッパー:ハンガリー狂詩曲 Op.68(1894)
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新国立劇場ーばらの騎士 [オペラ(国内)]

 新国立劇場のばらの騎士は、2007年プレミエ以来、4回目の公演。シルマーが登場し、レパートリー公演として、ようやく安定してきたように感じた。楽日に来られないため、二日目の公演を聞いたが、期待を越えて、立派に完成されていたのは嬉しい。
 特別、登場人物が個性を発揮する演出ではなく、優等生的歌と演技の舞台だったが、歌が入る場面は本当に良くでき上がっており、3幕の重唱もとても美しかった。
 改めて気づいたことはメルベートさんの声が、とても華やかだったことだ。元帥婦人役はしっとりした、憂いを秘めた声が好まれるのかと思っていたので、歌い出しを聞いて、はっとした。本来は決して中年ではなく、高貴な若妻役であるので、これもまた良しということだ。ゾフィー役ゴルダ・シュルツさんは、骨のある現代的女性像を演じ、歌も完璧で素晴らしかった。オクタヴィアン役アタナソフは、勿論声も姿も美しい。
 これから楽日に向けて、歌手がもっと舞台に慣れて、演技に自由度が増すだろう期待できる。同じ台詞でも、言い方ひとつで場面の雰囲気や作品の印象が変わるので、最後には、今年の登場人物のキャラクターで舞台を締めてもらいたい。前奏やオケだけの部分は、とても難しく、ドイツでも超一流のオケでないと、手放しで美しさに浸ることは無理だ。慣れているはずの東フィルさんに、もうひと頑張りを期待し、今年はさよなら。

【指 揮】ウルフ・シルマー
【元帥夫人】リカルダ・メルベート【オックス男爵】ユルゲン・リン【オクタヴィアン】ステファニー・アタナソフ【ファーニナル】クレメンス・ウンターライナー【ゾフィー】ゴルダ・シュルツ【マリアンネ】増田のり子【ヴァルツァッキ】内山信吾【アンニーナ】加納悦子【警部】長谷川 顯【元帥夫人の執事】升島唯博【ファーニナル家の執事】秋谷直之【公証人】晴 雅彦【料理屋の主人】加茂下 稔【テノール歌手】水口 聡【帽子屋】佐藤路子【動物商】青地英幸
【合唱指揮】三澤洋史【合 唱】新国立劇場合唱団【児童合唱】TOKYO FM 少年合唱団【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
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