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読響サマーフェスティバル2017《三大協奏曲》ー岡本侑也 [コンサート]

 オペラシティでコンチェルト3曲プロ、18:30開演だが、会場はお客さんで一杯だった。
 6月のエリザベートコンクール以降、岡本侑也さんがドヴォコンを弾いたのかどうか知らないが、あのときより冷静で、1楽章は前のように繊細に歌わず、3楽章を頂点に音楽が構成されていたような印象だった。始まってすぐ、もう、ドヴォコンは、特別ではなく、コンサートのレパートリーなんだなあと感じた。
 聴衆は、その日の演奏が、唯一の体験、奏者を知るよすがだ。
 印象としてだが、 ボムソリさんと、岡本さんは、テクニカルな面では完璧だったが、何か表現の部分で実は語り尽くせない部分が残ったのではないか気がかりだ。一方、ピアニストのハリトーノフさんは、我が道を突っ走り、ものすごいテンポで弾きまくった。座席が前の方で、視覚を重視したため、ホールにどんな音が響いていたのかわからないが、近くでは、ピアノの音はキレイという感じではなく、若さと迫力が、前面に出ていた。
 若い人の演奏が変わっていくのは当然で、岡本さんの演奏は、コンクールの時より、大人っぽくなったように感じた。これは、コンクール直後に、東京で宮田大さんのショスタコ1番を聴いた時の、老成しているという印象と共通するところがあった。次は、10月シティフィルとのロココの共演。場所も同じオペラシティ、楽しみだ。

指揮=海老原 光
ヴァイオリン=キム・ボムソリ
チェロ=岡本 侑也
ピアノ=ダニール・ハリトーノフ

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23
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「わ」の会 北とぴあ [コンサート]

 帰国してまだ、時差ボケからもどらないうちに、日本人歌手の黄昏のコンサートを聴いた。聴衆は、池田香織さんを応援する気持ちで来る人が圧倒的に多いのではないだろうか。昨年池田さんは二期会でイゾルデを歌いきった。この日は、黄昏のブリュンヒルデ。自己犠牲は、堂々として素晴らしかった。2013年ワーグナー生誕200年の記念演奏で聴いたときから比べても、一まわりも二まわりも、ワーグナー歌手として充実してきて、魅力が倍増した。どんな分野でも、身近で敬愛する人材が、活躍の舞台に躍り出る姿を見られることは幸せだ。
 バイロイトでいっしょだった仲間たちにまた会えて、何だか、まだ、バイロイトが続いているような楽しい晩となった。
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北とぴあ1階のキリンシティにて
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バイロイト音楽祭2017マイスタージンガー(8/19) [オペラ(海外)]

 ついにバイロイト最後の演目となった。早朝から並び、一番に当日券をゲットした。席はパルケットの少し後方だがほぼ真ん中、当日券は本当に良い席が出る。但し、出るとすればのこと、前回のマイスタージンガーは1枚も出なかったそうだ。今回予め一枚は持っていたので、今年のチケット争奪戦も幸い成功裏に終わった。
 もう一つの席は、来られなくなった方から譲り受けた、プラチナチケットで初めてバイロイトで一列目に座った。両サイドはどんな人か気になるが、どちらも英語を喋っており、左側はご夫妻、ご主人は一幕が始まるとすぐうつむいて、眠り始めた。私も時折睡魔が襲ってきたが、耐え忍んだ。右側の男性は若かったが、3幕でダウンしていた。つまり、一列目は、特別なお客様の席(ご招待)ということなのかもしれない。周りを恐れる必要無し。
 他の劇場も含め、Wagner で最前列に座ったのはとても久しぶりのこと、指揮者に視線を送る歌手と目が合うように感じる恥ずかしい瞬間も、たまには良いものだ。驚く程舞台の隅々まで見渡せ、コアの人たちの演技もとてもはっきり見え、3幕5場(NHK では2場)お祭り場面のストップモーションで男声だけ歌っている様子は見事だった。激しい動きの後の発声は本当に大変だと思うが、観客に全くそのことを感じさせないのは、さすがにプロだ。
 他にもTaffの講演で、舞台裏の話を聞いていたので、何度やっても失敗のない完成した舞台に敬服する。
 音楽の緻密さという点では、ペトレンコのマイスタジンガーとは比べられないが、緊張しない、楽しい舞台を鑑賞できるという点で、時々オケがばらばらに聞こえるJordanは、聴衆の気持ちを掴んでいると思う。
 歌手陣も、不調の人はおらず、Vogtは美しさが要求される役柄にはぴったりで、やはりどこか、人間離れした楽器のような声には魅了される。喉が締め付けられるように聞こえるときもあるが、それがVogtの歌い方なのだと受け入れたい。どんなに近くで見ても、登場人物全員が役者で、エンターテイナーで、しいていうなら、Eva役のSchwanewilmsだけが、声がよく聞こえず、少し役柄と雰囲気が合っていないようで、動きもしなやかさに欠けていた。Volleはサイン会ではとても人懐っこい感じだったが、ちょっと強面のハンスザックスは名演だと思う。内容の解釈については、学者先生にお任せすることにして、3回聴いて印象が変わらないのは、危なげのない完成された舞台だからだろうと満足した。
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出番前でも余裕のフォレ
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バイロイト音楽祭2017 トリスタンとイゾルデ(8/16) [オペラ(海外)]

 この日、客席がやかましく、出だしが聞こえなかった。チェロも3回目の跳躍で音を外したので、これではティーレマンもご機嫌が悪いかと思いきや、前回、メルベートがイゾルデを歌ったときとは、全く違う、ドラマティックな方向に音楽が進んでいった。ラングも面目躍如の演技だった。これが、今年の本物だったのかと納得。感情むき出しの演技と、うねりのあるティーレマンの音楽に、心かき乱され、この気分を逆撫でする暗い舞台から、美しい何かを発見したいという思いに駆られた。これが、本来の上演の方向であれば、演技が必用なのが分かる。前回はティーレマンも我慢して、美しくまとめたのだろうと想像した。初年度のヘルリティウスの絶叫が強く印象に残っているが、ラングはさほど気になる絶叫は無く、激しい情念に燃えるイゾルデを演じ切った。
 前回の舞台と比較すると、やはり、穏やかな美声よりラングの情念の方が説得力があり、このプロダクションには適任であると思った。毎年演出は少しずつ変化する。このプロダクションには、多くの人にとって共感しがたい人物像があり、ひょっとして、これから意外な方向へ演出が変化するなんてことも、あったりするのだろうか。
 ただ最後に驚いたのは、3幕まだ幕が降りきらないところで、フラブラ、ではなくフラ拍手があったことだ。Metならともかく、まさかバイロイトで、しかも棒を下ろすまで、拍手を許さないティーレマンの背後で ! マエストロがニコニコとカーテンコールに登場してくれて、ほっとした。邪推すれば、前回一回抑えざるを得なかった分、この日は、客席に関係なく、自分から燃焼したかったなんてことはないだろうか。2回聴けたからこそ、この日の感動は格別だった。
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Ebermannstadt、Streitbergビール巡り(2) [ビール]

 ForchheimからEbermannstadtまでは、DBの代替えバスだった。Ebermannstadtの少し先が工事中とのこと。着いてみると、小さいが水の豊かな町だった。町の入口の古い水車が歴史を語っている。
 宿はSchwanenbraeuという町で一番大きい、Hotel、Brauerei、Gasthofということだった。町外れに、息子さんの経営するBiergartenがあるので、川沿いにぶらぶら歩いていくと、17時開店を待つ、地元のおじさんがもう、勝手に店の座布団を持って行き、日差しに立ち向かうかように、ベンチに座っていた。ここは、窓口に自分で買いにいく伝統的システムだ。
 木の下に座って飲んでいると、バイクで周辺20kmツーリングしてきたご夫妻が同じテーブルにやってきた。チャイニーズかと聞かれ、日本人だというと、二人のバイクが、KawasakiとHondaとのこと。話の導入にもってこいだ。バイクで旅する人たちは概ね自由人で、日本にも興味あるものの、車で予約無くとも泊まって旅できるかと聞かれ、それは難しいと言うと、アメリカのネバタ州を車で旅したが、予約なくてもモーテル宿泊は問題なかったと。広さが違うし、日本は狭いからと言い訳した。興味あるのは中央アルプスと北海道、日本の自然を見たいそうだ。最後に奥さんが名乗ってきたので、私も連絡先を渡してた。旅先で話しかけてくる人は、日本に来たことがあるか、興味がある人たちだ。
 バイクでビアガーデン巡りをしていると見えて、虫がビアジョッキに入らないよう、蓋を持参していた。よくコースターで蓋するが、我々は、虫はあまり気にならない。
 ビアガーデンが、気持ちよく連れ合いはどれほど飲んだのか、宿に戻って、まだ日は暮れていながったが、朝までぐっすり、眠ってしまった。
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 翌日は、城壁を散策しながら、バイロイトに戻った。
EbermannstadtからPegniz行きのバスは、学校が休みの為、ワゴン車だった。大きなバスの後ろに到着し、まったく気づかなかたら、運転手さんが迎えに来てくれた。でものんびりしており、定刻になっても、運転手さん同士おしゃべりしていて、一向に発車せず、同乗者の女性が、約束があるから、バスを出してくれと言いにいった。
 私たちは、鍾乳洞のあるStreitbergで下車し、古い城塞に登ってから、Binghoehleという鍾乳洞を見た。大きさは前に行ったTeufelshoeleほどは大きくはないが、説明のお姉さんは純粋な石灰と氷だけなので鍾乳石が白いと自慢していた。見学は7ユーロ、写真撮る場合は1ユーロ支払う。今回ヘッドランプ持参で、よく写真が撮れた。
 次に道路反対側の城塞Neideckへ上り、素晴らしい景色を堪能した。頂上で買ってきたサンドイッチを食べようと思っていたが、麓のプール横に、またもやビアガーデンを発見、下山して、ビールにサンドイッチということになった。
 帰路のペグニッツ行きバスは、気づけば、このあたりの城塞街道を走るバスで、Goessweinstein、Pottensteinを眺めながら、以前行った時のことを思い出し、楽しいルートだった。

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Forchheim, Bierwald ビール巡り(1) [ビール]

 ニュルンベルク交通(VGN)の一日券(19,1EURO)を使って、軽いBier-wanderung をした。
 朝食抜きで、朝8時バイロイト中央駅発の電車に乗ったが、途中電車が遅れ、乗り替えるはずの電車が行ってしまい動揺したが、今年はiPhon をSIMフリーにして、現地でT-comを入れてあり、VGNアプリも使っているので、すぐに立ち直った。
 Bamberg で乗り換え、Forchheimへ。 ここは、城塞都市で、14世紀の市庁舎の窓が、クリスマスにアドヴェントカレンダーの装飾になることで、今日では知られている。市庁舎や王宮は、静かな中世の趣があり、川沿いの建物の風景は、規模は小さいがバンベルクにも似ている。そして、ビールで有名な町でもある。
 Infoのお姉さんがとても親切で、バイロイトから休演日に来たと言ったら、よくぞ、Forchheimを選んでくれたとお礼を言われ、今日半日の滞在だと言うと、Bierwaldで昼に営業している店を電話で探してくれた。町中には、4つのBierbraeu があり、Bierwaldは町外れの山一つが、天然の冷蔵庫Bierkellerになっており、現在では、24のケラーに隣接して、ビアガーデンがある。訪ねたのは、木曜日昼だったのだが、2件だけ開店しており、一番奥のケラーは、市内でお店を素通りしたNederkeller だった。森の中のひんやりした空気のビアガーデン、日本には無いだろう。
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バイロイト音楽祭2017ーニュルンベルクのマイスタージンガー(8/15) [オペラ(海外)]

 バイロイトに来てから、もっと良い席が手に入ったのでチケットを売りたいという話が来て、ロジェ2列目を譲ってもらった。舞台全体が良く見え(パルケットだと、前が巨人族だと全然見えないことがある)、オケの音は抑えられ、歌はよく聞こえ、椅子はふかふか。連れ合いは、Mittelloge につづき、このLogeが気にいいった様子だ。でも、私はParkettで、オケの音が響いて聞こえる方が好きだ。
 前回ギャラリー席で聞いたときには、オケと合唱がかなりずれて聞こえたが、今回は、あまり気にならなかった。やはり視野が広いと、見ていて楽しい。舞台上の動きは、音楽に比べると、プレミエから完成されており、この表現の豊かさが、他の演目の演技にも影響を与えているのではないかと、ふと思った。
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マイスタージンガーのワーグナー手書き譜(Wahnfried 展示中)
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バイロイト音楽祭2017ーパルジファル(8/14) [オペラ(海外)]

 一つ前の公演では、Haenchenが病気になり、Janowskiが代わりに指揮し、快速なテンポで、予定時刻より早く終了したという噂が飛び交っていた。この日は復活し、お元気そうだった。昨年より、とても印象が良くなっていて、嬉しい。昨年は、少しがっかりしたが、やはり寸前の指揮者交代で準備期間が足りなかったのかもしれない。今年は間違いなく、マエストロHaenchenのパルジファルがこれなのだと、伝わってくる。席もパルケット後方で、オケの上に上がった音がちょうど降りてくるあたりで、心地良かった。
 Schagerのパルジファルは、強靭で、イメージとしては、ジークフリートのようだった。声も大きく逞しい。疲れを知らない歌に、やはり感動する。演技も上手で、Vogtよりこの舞台には合っている気がした。
 昼は、ヤノフスキのサイン会があった。舞台上で見ると歌手の体格が立派過ぎるため、小柄でひ弱な老人という印象だったが、ご本人を前にすると背も高く、何よりお声が朗々と響くバスで、質問にも考えながらはっきりお答えになり、大分印象が変わった。歌手ではないので、さすがにご自身の舞台写真などはお持ちにならないが、プログラムに気軽に笑顔でサインを頂いた。
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バイロイト音楽祭2017ー神々の黄昏(8/13) [オペラ(海外)]

 当日券売場は、昨年までは14時オープンだったが、今年は、午前10時と午後と2回開くことになっていて、今年はリングのチケットは持っていなかったが、朝から行ってみることにした。
 朝早めに Karten Bueroに並んだので、1番目だった。ドイツ人が来るのは、早い人で9時台なので、ずっと一人だった。割りとあっさり、2枚続きの席が手に入った。それも16列の5と6という、ちょうど上のカテゴリーの境目の席で、ラッキーな気分だった。
 ヤノフスキーの音楽はよどみなく、さらさらと進んで行く。演出の変化について、一つ気づいたのは、3幕初め、演出助手Seibertが死体の役をするのだが、あまり、目立たず、何故やっているのかずっと分からなかった。ところが、今年はSeibertが衣装を着て、頭に血を塗って、死体になるまでの過程を映像で見せたため、会場が喜んでどよめいた。
 登場人物としては、一番気が小さかったGunterが、今年は大暴れ。二幕で怒狂って、ハンマーで机を叩き割ったり、音楽を邪魔する騒音もお構いななしだった。これも最後の年の余興だろうか。
 主役2人の安定感もあり、安心して見ていられた。演出に関して文句を言う人は多いが、歌手、オケはさすがだし、これだけ立派な舞台装置を見るだけでも、価値があるのでは?
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Vinke と Foster の サイン会 [オペラ(海外)]

 辺境伯書店が閉店したため、今年からサイン会会場は劇場横のSteigenbergerレストランとなった。12時20分前に到着するも、顔見知りの日本人がいるくらい、宣伝が行き届いていないのか、場所が街中から遠いからか、時間になっても、主役ふたりのサイン会にしては集まりは良くなかった。
 Foster とVinke のサイン会は、外が寒いというFosterの希望で、Steinbergerの屋内に変わった。この日、黒いスーツの彼女は、美しく魅力的だった。家族もその場にいて、この5年の間に、大人っぽくなったお嬢さんが、話題になっていた。
 数年前WeimarのSiegfriedがVinke だったことをふと思い出し、サイン会で話してみた。すると、あれは、代役で、前日、よそのプローペ、GPの後電話があり、一回歌い終えた後、Weimarに移動し、翌日本番で、とても大変だったと話してくれた。その時思い出していなかったが相手役はFosterだったようで、何年だったかと横にいたFosterに尋ねると2007年とのこと。でも私が行ったのは2011年なので、Fosterの思い違いかもしれないが、Vinkeにとっては、只一度のWeimarを聴いたことになる。その時の印象はSiegfriedが汗だくで、最後ボロボロになり、気の毒に感じたのは、あながち間違えでは無かったようだ。
http://gruen.blog.so-net.ne.jp/2011-07-12
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バイロイト音楽祭2017ートリスタンとイゾルデ(8/12) [オペラ(海外)]

 場内が暗くなって、ごめんなさいおじさんが出てきて、イゾルデ役ラングが不調のため、演技のみ行い、メルベートが歌うと説明した。Besetzungに既に書いてあるため、観客の驚きはそれほどでもなかった。
 メルベートは、舞台上手端で、譜面台に楽譜を置いて立って歌った。とても落ち着いていて、音楽も全体的に、優雅で、穏やかに進行した。ラングの演技というのがピンとこず、やはり歌わないと難しいのだろう、カーテンコールには、メルベートだけが出てきた。二幕のトリスタンとの二重唱はよく練習したとみえて、二人の距離感は全く気にならなかった。勿論離れて歌う演出もあるわけだし、どんな環境でも歌えるのが本物ということだ。マルケ王役のルネ・パペは年齢通りの風格で、今回の演出での役どころとしては、優しすぎたかもしれない。ラングだったら絶叫するのだろうなあと思いながら、穏やかなイゾルデの声に満足していた。
 ネットで取った席が気づけばMittellogeで、Ringの初年度、毎日当日券がMittellogeだったことを思い出した。奥まっているせいでオケの音が抑えられて、遠く聞こえたかもしれないと思う。席によって聞こえる音は変化する。
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Johannes Martin Kraenzle Haus Wahnfried [コンサート]

 ヴァンフリートでのコンサートを一度聞いてみたくて、友の会主催の、ベックメッサー役の、クレンツルを聞きにいった。声楽のコンサートはほとんど行かないが、曲により、変貌するキャラクターは、さすが素晴らしい。ピアノも良くて、初めのマーラーは、喉を慣らす程度だったが、Jedermann 以降、バリトンらしい、鋼のような力強い響きに魅了された。プログラム最後は、現代の作曲家Klein のjiddisch(中世ドイツ語にヘブライ語がまざった、ユダヤ人の言葉を用いた)流の12の歌。現代ドイツ語訳がプログラムに載っており、ベックメッサーの演技を連想させるような、表情豊かな歌に、時々会場から笑いが起こった。
 帰りは、どしゃ降りで、バッグの中までぐちゃぐちゃになった。
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バイロイト音楽祭2017ーヴァルキューレ [オペラ(海外)]

 第二チクルスのヴァルキューレを、5列目の端の方で見た。こんなに近くで舞台を見るのは初めてで、臨場感が違い、とても良かった。舞台の視界は狭いが、奥行が見通せたり、歌手の動きもよくわかる。
 タンホイザーの最後の年に聞いた話で、最終年は、歌手やコアも、ちょっと変わったことをして、楽しむそうだ。ちょっとしたおふざけが許されるらしい。この日のヴァルキューレでも、そんな場面があった。2幕初め、フリッカにひとしきり怒られたヴォータンが怒り心頭、左周りに一周する間に、自分の立派なあごひげをむしりとって投げた。また、ジークムントが、フンディングの館にあった自転車を倒して、騒音をたてた。ノートゥングが2箇所にあったという説もある。
 私の印象しては、登場人物たちが、とても人間臭く、確信はないが、ヴォータンが、ジークムントを倒さねばならない話をブリュンヒルデとしている時、あんなに、抱き合ったり同情しあったりしたかなぁと、気になった。映像が省略されていたという指摘もある。
 ヤノフスキの音楽は、1幕は、控え目だったが、3幕になると終始パワー全開で、すごい音量に感じた。でも、音楽で何かを語るタイプではなく、場面の状況を説明し、盛り上げる感じで、真っ直ぐな音楽だと思う。幕切れも、それほど音量は落ちなかったように聞こえた。
 辺境伯書店がなくなり、皆気になっていた、サイン会は、劇場横の、Steigenberger で行われる。
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バイロイト マイスタージンガーの舞台美術 [ドイツ]

 公演に先立ち、Taff主催の舞台美術の話、今度はマイスタージンガー。日本では、Webで一部分しか見られなかったが、ドイツに来て、ドイツ国内限定のBR-klassikの映像を、宿の今一つのネット環境の中で、廊下に5時間居座り、ようやく全部見ることができてから、翌日にTaffの話を聞いた。泊まっているドイツ人たちも、興味津々のようだった。
 雰囲気は、新国立劇場の、バックステージツアーのようだが、現場には行かず、スライドを交え実際小道具を手に取りながら話を聞いた。
 最高傑作は、"コスキーの蝋燭"だと思う。50cm位まで近づかないと、炎が、平面であることに気づかない。さらに蝋が溶けて流れる不思議さ。
 次にコーヒーカップ。割れたり滑ったりしないよう、カップの裏側とソーサーにシリコンのような、滑り止めが、塗ってある。そして、マイスターたちが、一緒にコーヒーカップをスプーンで鳴らすシーンがあるため、その音が音楽に合う音程に揃えてある。
 セットの芝生は、草一本一本が、よくある段ボール製の細紐だった。
 色々なものをネット購入して、買い揃えているそうだ。食べかけの料理も見事だった。
 ネタバレは、日本のBS放送前なので、一応このへんで。
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バイロイト音楽祭 ニュルンベルクのマイスタージンガー(8/7) [オペラ(海外)]

 今年プレミエのマイスタージンガーは、珍しくスキャンダル無しの期待の演目で、チケットのズーヘは難しいだろうと、気がひけていたが、バイロイトに入り映像を見、Taffの話を聞いたからには、臆せずズーヘするしかないと、覚悟を決めた。
 開演1時間前に着くと、すでに成功した日本人がおり、友達のドイツ人もチケットを探していた。
 幸運にも、意外とあっさり、ギャラリー席が、手に入った。視界が少し欠ける29ユーロの席で、ネット購入したが、後でもっとよいギャラリー席が手に入ったからという理由だった。さっきの友達のドイツも偶然同じ列にやってきて、お互いの幸運を喜びあった。
 3幕前に、ハンスザックス役のVolleが体調が悪いが、頑張って歌うという説明があった。確かに、映像で見たほど立派ではなかった。でも私としては、3幕になってVogt の声が時々、裏返るようなかすれるように聞こえることの方が気になった。
 舞台は、動きがあって、生き生きして、演劇のようだ。日本で音だけ聞いたとき、随分エネルギッシュに感じ、その後、コスキーがVogt の肩を揺すって演技をつけている映像を見て、活発な動きのある舞台だと認識した。喜劇として演出されている。フォークトの子供もエキストラで出演している。
 初めに、大きなぬいぐるみのような、熊のような犬が登場するが、少し前、外で見かけた時、まさか出演するとは気がつかなかった。
 1幕は、ヴァンフリートが舞台で、華やかで楽しい。リストやヴァーグナーがサロンでピアノを弾く写真やコジマの日記など、昔の資料は豊富なので、オリジナルに忠実に再現しているとのことだ。
 ベックメッサーのキャラクターは強烈で、公然と嫌われ者のレッテルが貼られている。Johannes Martin Kränzleは外見も声もよく、若々しい声のダーヴィッド役Daniel Behleと共に大きな拍手を受けていた。歌手もコーラスもエキストラも、舞台上の人たち、皆常に演技していてミュージカルの雰囲気を取り入れているような気さえする。予備知識が無くても、退屈しないだろう。Volle もGroissboeck も演技派で、強いていうなら、コジマと重なるエヴァの人物像だけはちょっと違和感があった。
 普通あまり目立たないマイスターたちの個性まで喜劇的に演出していて、いつもは素通りするマイスターたちの歌声が高らかと響いていた。Vogt の声は、本当によく通ると、聞くたびに、感心する。
Musikalische Leitung Philippe Jordan
Regie Barrie Kosky
Bühne Rebecca Ringst
Kostüm Klaus Bruns
Chorleitung Eberhard Friedrich
Dramaturgie Ulrich Lenz
Licht Franck Evin
Hans Sachs, Schuster Michael Volle
Veit Pogner, Goldschmied Günther Groissböck
Kunz Vogelgesang, Kürschner Tansel Akzeybek
Konrad Nachtigal, Spengler Armin Kolarczyk
Sixtus Beckmesser, Stadtschreiber Johannes Martin Kränzle
Fritz Kothner, Bäcker Daniel Schmutzhard
Balthasar Zorn, Zinngießer Paul Kaufmann
Ulrich Eisslinger, Würzkrämer Christopher Kaplan
Augustin Moser, Schneider Stefan Heibach
Hermann Ortel, Seifensieder Raimund Nolte
Hans Schwarz, Strumpfwirker Andreas Hörl
Hans Foltz, Kupferschmied Timo Riihonen
Walther von Stolzing Klaus Florian Vogt
David, Sachsens Lehrbube Daniel Behle
Eva, Pogners Tochter Anne Schwanewilms
Magdalene, Evas Amme Wiebke Lehmkuhl
Ein Nachtwächter Karl-Heinz Lehner (25.7. Georg Zeppenfeld)
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バイロイト パルジファルの舞台美術 [ドイツ]

 Taff会員のための、Parsifalの舞台美術についての講演があり、大道具をコンピューターで設計して、作り上げるまでのこと、様々な手作り小道具の苦労話などが紹介されました。
 Festspiele のHPのpodcast にも、公演で使う血液専用の冷蔵庫が紹介されていますが、実際3種類の食べられる血液を持ってきてくれて、私も一つ味見しました。シロップ味で、他にミントやコーヒー風味もあるらしいです。これらは、1幕の聖堂の儀式で、実際飲むとのこと。Amfortasが血液を流すタイミングは、シリコン等で作った血管を破り、音楽にあわせて、どこで、どれを流すか決まっているとのこと。
 2幕舞台左側のお風呂は、幕間に、50度に設定し、入る時点で36度になるよう準備され、積んであるバスタオルで、本当に普通に身体を拭いているとのこと。上方にある沢山の十字架は、各地の博物館などの写真を集め、作ったそうです。落ちてくる十字架は、それ専用の簡単な十字架を準備。
 3幕の舞台に散りばめられた瓦礫も、置き場所の図面があります。舞台奥の水浴(滝?)の水音は、やはり音楽の音量に合わせて、調整されるとのことです。
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自家製の血液
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Cheng-yu Moさんピアノリサイタル [コンサート]

 上海音大教授だという毛さんの演奏会がシュタイングレーバーであった。オールシューマンプログラム。選曲が個性的ではないかと思う。日本語訳では、 ダヴィッド同盟舞曲集 というらしいが、Die Davidsbündlertänze という架空の二人の人間の性格を、1部2部に分け、音楽で表現している。
 終わりに近づくほど、音楽が穏やかになり、到着翌日ということもあり睡魔に襲われた。後方では高いびきまで聞こえ、皆さんリラックスできたようだ。
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バイロイト音楽祭2017ーKinderoper 【Tannhäuser】 [オペラ(海外)]

 LHの成田便がいつの間にか無くなり、羽田便で一見便利になったようにも思えるが、出発が2時間ほど遅くなったため、欧州での当日の乗り継ぎはリスクが大きくなったかもしれない。
 今回もミュンヘン便は順調だったが、乗り継ぎのニュルンベルク便が雷とかで1時間遅れ、結局バイロイト中央駅に着いたのは夜中の23時半、夜間バスを利用してやっとホテルに入れた。

 翌日Kinderoper は 8~12才対象で、公演は、1時間。5才未満は、ご遠慮下さいということになっている。結構楽しいという噂は聞いていたが、申し込んだことは無く、今回日本人のお子さんの同伴者として、初めて見に行った。場所は祝祭劇場裏、楽屋口の方に芝居小屋がある。
 これは、期待を遥かに越えていて、本公演を知っている大人にとっては、自然に想像力で細部を補いつつ、楽しめるものだった。
 小屋のステージは横長で、客席は階段に座るタイプ。少し左寄りの舞台奥にオケ、それを囲むように、グリーンの芝生が敷き詰められ、網でできたような川が反物のように流れている。
 右手奥に、山高帽のの老人と、ショールをかけたお婆さんが座っている。左側には、ヴェーヌスベルク入り口に掛かる橋、山の上にヴェーヌスが立ち、ローブウェイのように、子供のバケツを山頂へ上げたりする。あとで気づいたが、タンホイザーは、ヴェーヌスと遊ぶのが飽きて、出て行きたいわけで、このローブウェイも、遊び一例だろう。右手には、騎士たち(遊び仲間が小道具を作っている) 途中セリフも入る。
 オケのチューニングを聞いた時点で、久しぶりに正統な西洋音楽の音がし、ドキッとした。歌手も間近で、唾を飛ばして熱唱してくれる。指揮者は暗譜で、音楽は、ヴェーヌスベルクから始まり、筋書き通りに進んだ。2幕の歌合戦では、観客に紙の王冠が配られ、一人歌うごとに、拍手と、足を鳴らすよう促される。もっと、もっとと、大音量は、元気の象徴だ。
 ローマとはっきり言わなかったと思うが、タンホイザーは改心の旅に出る。一方、エリーザベトは、マリアに祈るが、その時、右手奥の二人の役割が出る。男性は、タンホイザーを突き放し、お婆さんは振り返ると水色の網のような川を編んでおり、エリーザベトの話に耳を傾ける。
 綺麗な音楽から、一変し、ローマ語り抜粋では、客席が少しざわついた。怖かったのではないだろうか。
 幕切れは、エリーザベトが、お婆さんと話した結構、また、タンホイザーと一緒に遊ぶのを許され、めでたしめだし。おしまい。

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