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新国立劇場ーリゴレット [オペラ(国内)]

 久々の初台、ヴェルディも生誕200年の今年、まだオペラを観ていなかったかも知れない。
 新年度一作目はリゴレットの新演出。演出家はヴォツェックと同じドイツ人、現代に移したと言う必要も無いくらい、ごく普通だった。
 ヴェルディも、社会と戦い検閲をかいくぐって、場面をフランスからイタリアの田舎に移し、風刺劇のこのオペラを成功させた。胸がえぐられるような、過激な筋書きだが、いつも思うのは、残酷な場面ほど、音楽がとにかく美しい。昔、初めてリゴレットを見たとき、恐怖を感じたものだが、ワーグナー慣れしてしまった今日、3幕のあの重唱が、あの嵐がもっと続けばいいのにと、とてもあっさり終わってしまった感じがする。勿論、言うまでもなく、1851年初演当時は、限界まで挑んだ舞台だったわけだ。ヴェルディもワーグナーも38歳。
 新国立劇場で、韓国人テノールを聴いたのは、初めてかもしれない。マントヴァ公素晴らしかった。気のせいかもしれないが、客席に、韓国からの応援団がかなり居たような気がした。海外のお客様は嬉しい。ジルダ役は美しく、声が意外と太い感じで、安定感もあり、いつかドイツものを聞けるかもしれないと期待。リゴレットの役どころ全てを表現するには、今風の衣装になると、不利かもしれないが、父娘の愛情だけは、4階の隅まで、見えなくとも、伝わってきた。(G)
【指揮】ピエトロ・リッツォ 【演出】アンドレアス・クリーゲンブルク
【リゴレット】マルコ・ヴラトーニャ 【ジルダ】エレナ・ゴルシュノヴァ 【マントヴァ公爵】 ウーキュン・キム 【スパラフチーレ】 妻屋秀和 【マッダレーナ】山下牧子 【モンテローネ伯爵】谷 友博 【ジョヴァンナ】与田朝子 【マルッロ】成田博之 【ボルサ】加茂下 稔 【チェプラーノ伯爵】小林由樹
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ミケランジェロ展 国立西洋美術館 [美術・博物館]

 招待券をもらったからと、友達が誘ってくれた。フランス仲間で、接点は一人旅、彼女はローマにも行ったことがあり、システィーナ礼拝堂を見ている。一方、私は、フィレンツェのダヴィデ像止まり。
 実は、ミケランジェロの顔(肖像画)を初めて見た気がする。彫刻家、建築家、画家、天才は職人気質の一匹狼、工房を持たず、デッサン等は焼却してしまう、顔のシワは気骨の現れか。メディチ家に守られた万能の芸術家だ。
 展示品は、習作が主体で、几帳面な直筆の書簡もある。大理石の彫像は来ていないが、浮き彫りの"階段の聖母"は、ダヴィテ像を見た時と同じく、その人間らしさに感動した。
 システィーナ礼拝堂は、実際は薄暗く、天井画も、最後の審判も、はっきり細部まで見えないそうだ。天気が悪ければさらに、礼拝堂の中は暗いだろうと。奥行きが40m、幅14m、天上も柱や曲面が多く、描き方も、下から見上げて最適なように、大きさや距離感、立体感など、錯視を利用して描いてある。最後の審判の人物が全部裸体だったので、没後弟子が加筆して布を着せたそうだが、ダヴィデ像も他人の断念したものを引き継いで制作されたし、人に頼まれてミケランジェロがデッサンしたものが、他人の彫像になったり、芸術に複数の作者の手が加わることはよくあったのだろうか。現代では、想像できない。
 ともかく、フレスコ画は、現地に行かないと体験できない。ローマには元気なうちに行かねばならない。(G)
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