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クリスチャン・ツィメルマン ブラームスを弾く サントリーホール [コンサート]

 久ぶりに聴く岡本さんの演奏。奏者4人がペーザロで合流し、練習を始めて約一か月、少なくともイタリアで3回、日本で3回演奏会が開催され、サントリーがツアー最終日。やはり、一夜限りの室内楽とは全く違い、危うさは微塵もなく、緻密で安定感と安心感がある。ツアーをやるとは、こういうことなのだと実感した。
 サントリーホールで岡本さんの音を聴くのは初めてだったが、S券チケットが16,000円というハイランクの演奏会で、私は舞台後ろの8,000円の席で我慢した。席により音が違うのは大前提であり、誰もが理想的な音を体験できるものではない。サントリー舞台後ろ側の席で室内楽を聞くのは初めてだと思うが、ピアニストが良く見えて、ツィメルマンが足を踏み鳴らしたり、後ろで指揮したり、没頭している姿を間近に見えたのは面白かった。チェロも少しは見えたし、全体の音が溶け合っているのはよく分かった。最近のものではベルリンのピエール・ブーレーズ・ザールのように、わざわざ周囲360度に客席を設けている室内楽ホールもあり、そう思えば、室内楽なら距離さえ近ければ、どこで聴いても際立つところは伝わって来るのではないだろうか。
 音色も、各楽器の音量バランスも理想的で、ピアノのみ目立つこともなく、4人で一つの楽器のように調和していた。
 これがポーランドらしさなのかもしれないが、皆、緻密な仕事ぶりで、複雑な音の隅々まで整然と、知的に誠実に演奏されていた。一人が突出していないところがまた凄い。ブラームスらしい、少し暗めで格調高い音が、ホール全体に広がり、その澄んだ空気の振動を共有できたような、浄化されたような時間だった。でも、もし正面からかぶりつきで聴いていたら、もっと違う感想を持ったのではないかと思う。

ブラームス:
ピアノ四重奏曲第2番イ長調Op. 26
ピアノ四重奏曲第3番ハ短調Op. 60
ピアノ:クリスチャン・ツィメルマン
ヴァイオリン:マリシャ・ノヴァク
ヴィオラ:カタジナ・ブゥドニク
チェロ:岡本侑也

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