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第21回江副記念財団リクルートスカラシップコンサート [コンサート]

 今年の出演者は12人、持ち時間は一人15分程度だが、とても聞き応えのある4時間半(休憩含む)だった。一列目で聴いた連れ合いは、一人一人の息づかいや、緊張具合が手によるように分かったという。私は、途中から後方の席と交換し、後で感想を聞くと、ホールに響く音だけで判断するのと、近くで弦の摩擦音込みで聴くのとでは、幾分印象に違いがあった。
 二人とも意見が一致して絶賛したのは、ピアノの高木さんとチェロの岡本さんだ。高木さんは、一人抜きん出て、圧倒的に演奏家然としていた。岡本さんも、凄く演奏慣れしていて、力の抜けたドビュッシーらしい音色と、ロストロポーヴィッチの超絶技巧を、楽しそうに披露してくれた。この二人は、選曲の面からも、きっちり聴き手を楽しませてくれたと思う。大勢の演奏を聴くと、やはり余裕のある音楽の方に共感する。必死さが伝わってくる、テクニックのお披露目が続くと、聞く側も疲れてしまう。
 阪田さんのバルトークは近くで聴いたが、音色が多彩で素晴らしかった。ショーソンを弾いたヴァイオリンの坪井さんのボーイングが凄くて、ほとんどこ駒の上を弾いていたと、間近で見た連れ合いの言。後方では、あれだけ緩やかな曲に長さを感じさせない、音の美しさが印象に残った。
【演奏者】
高木竜馬(p) / 北村朋幹(p) / 黒川侑(vl) / 弓新(vl) / 岡本侑也(vc) / 阪田知樹(p) / 山根一仁(vl) / 城戸かれん(vl) / 桑原志織(p) / 坪井夏美(vl) / 二瓶真悠(vl) / 上野通明(vc) 於 紀尾井ホール
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