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ワーグナー生誕200年開幕とWagner 2013. Künstlerpositionen [美術・博物館]

 2013年はワーグナーとヴェルディの生誕200年記念の年。日本国内では断トツにヴェルディ派が多いと思われるが、ドイツで早速ワグナーの年を実感した。
 たまたま見かけた新年の週刊新聞2紙で、一面にワグナーの顔写真が掲載され、5~6ページの特集が組まれていた。die Zeitでは、ワーグナーを振る外国人指揮者ということで、サイモン・ラトルとアンドゥリス・ネルソンズにインタヴューしている。
 ワーグナーの音楽には精神科医が必要だという見出しで、音楽に麻酔性があること、音楽に逆らって指揮せず、流れに身を任せないと、響きを損なってしまうなど、強烈な作曲家であることが強調されている。
 リングと切り離せない反ユダヤ思想と作品について、ラトルはノーコメントだった。ラトルはバイロイトで振っていないが、ヴォルフガングとは何度か会ったことがあり、反りが合わなかったようだ。
 ネルソンズが言うには、パルジファルだけは、祝祭劇場用に書かれているので、スコア通りで問題ないが、他の作品は多かれ少なかれ苦労が伴い、奈落での大音量で耳をやられることもあるそうだ。ローエングリン第三幕前奏曲で金管が思いっきり鳴らそうものなら、指揮者は、全世界を肩に担うギリシャ神話の巨人アトラスのようで、でも会場の助手からは、もう少し音量出しても構わないと言われたりすることもあるとか。
 確かに客席では決して大音量には聞こえない構造になっているのだが、ピット内はすごいことになっているらしい。二人ともドイツ人でないのにワーグナーを振る重圧を感じていることが伺える。1978生まれのネルソンズは、過去の歴史にとらわれず、苦しみながらも純粋にスコアーの音楽を表現して、2016年にはバイロイトで素晴らしいパルジファルを演奏してくれそうな気がする。ラトルは、社会的存在としての意識が強く、社会情勢を視野にいれた音楽家だと感じた。
【Wagner 2013. Künstlerpositionen】
 ベルリンでは大物のオペラ演出家たちが、ワーグナーの演出について、各自ブースをつくり展示しており、友人に案内してもらった。普段公演プログラムなどに、演出意図が書いてあることは稀で、観る側が考えなければいけない。この展示にはHP上に各人のレジュメが掲載されているので、一応全部目を通して会場へ行ったのに、読んだこととリンクできる人はごく少なかった。見るならとことん見ねばならないが、これは、本当に知っている人がなるほどねと思うような芸術的領域だと思い程々で退散した。2016年からバイロイトのパルジファルを演出する、1970年東京生まれのJonathan Messeの描いた絵を見てすごい演出になりそうだとため息が出た。
 こうやってワーグナーの演出家の展示が、地味に一堂に会するって、さすがベルリンだ。(G)
展示は2月17日までAkademie der Künsteにて(U9、Hansaplatz駅) http://www.adk.de/de/projekte/2012/Wagner/Wagner_Ueberblick.htm
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