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ゲネプロのひとこま [オペラ(海外)]

 既に本公演も始まったが、それに先立つ1週間で行われるGPの舞台は、全て本番通りに行なわれる。危機管理の完璧さを、チェックするようなものかもしれない。客席のほぼ中央のデスクに、指揮者が映るモニターを置き、副指揮者の人たちが暗闇でスコアをチェックしている。演出家たちもいる。
 トリスタン3幕途中で、不調の歌手が交代した時の、P.シュナイダーは慣れたもので、さすがだと思った。本領発揮という感じで、てきぱきと入りの合図を送りながら、代役の生気を呼び起こすかのように、ぐいぐいと引っ張っていった。
 タンホイザーは、去年より、落ち着いてきて、とても良かった。昨年カットされた、大合唱が入り、その部分はオケと合わせにくそうだった。合唱は、オケを聞かず、合唱指揮者の棒にとにかく合わせるので、合唱指揮者の役目は、とても重要だ。
 舞台の細かい演出は、必ず見なければならないという訳ではない。自分で、何を見るか選んでも構わないと思う。指揮者がティーレマンに変わり、音楽の盛り上がりも素晴らしい。プロンプターはいつも、指揮者モニターを見ながら指揮しているが、歌手用の合図なので、必ずしも、指揮者と同時ではないのが面白い。音楽が、間をとったり、ルバートしたりしても、プロンプターは、淡々と素手でリズムをとる。去年のヘンゲルブロックの弦楽器の弾き方は、やっぱり、かなり特別だったことが、分かった。
 フェストシュピールハウスの音響について、舞台の下から音が聞こえるという実感がまだ無かったが、ついにそれを体験できた。最初の年、パルシファルをsucheして得た席は、かなり前の方の中央の席で、オケの音はピットから立ち上がり、正面からやってきて、自分を通り越していった。昨年後方の端の席で聞いた時の方が、周囲の壁に反響して、かなり力強く聞こえた。そして今年、これこそ、ワーグナーが、ここで演奏するために作った、パルジファルの理想的な音を、聴けたのではないかと思う。席は真ん中へんの左寄りだった 。声を絶対にかき消さない豊かな響き、でも、決して、ステレオのボリュームをひねった大音量ではない。ピットの中の物凄いエネルギーが、まず、舞台に上がり、歌い手の間を回って、客席に届く、理想的な音質と響きだと感じた。(G)
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