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鳥獣戯画展② [美術・博物館]

 鳥獣戯画展を企画した学芸員の展示解説を聞き、展示替えした後半の作品を見た。本来なら全部一度に展示したいのだが、裏打ちが弱く、作品を傷つけないために、前後半を分けたのことだ。
 甲乙丙丁、隅々まで見たが、甲巻がやはり最高傑作だと思う。動物の姿をした人間のような表情が楽しい。12世紀という古さを全く感じない。前半部分は、ウサギ、カエル、サルが遊ぶ風景が主だっがが、後半はそういう場面を周囲から見る野次馬的動物達がさらに豊かな表情で描かれている。
 例えば一番有名なウサギとカエルのお相撲場面では、まず、カエルがウサギの耳に噛み付き、次の場面でウサギがひっくり返る。これは「異時同時図法」と言い、まさにマンガの世界だ。その横では3匹のカエルが大騒ぎで笑っており、一匹は地面を叩いて喜んでいる。こういう場面転換のところには遠景や下草風景が描かれている。http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/25/Chouju_sumou.jpg
 絵に魅了され巻物を切断してしまったのか、断簡も巻物も切り貼りがたくさんあり、本来の順番を探るのは難しい。摸本を手がかりに、オリジナルの姿が研究されている。切り取った無関係な場面を上手に組み合わせて作られた断簡は、新しいお話となり、継ぎ合わせた部分に描き加えられる背景や植物は、次第に写実的になり、折れた枝草まで描かれて、植物画としても見事だ。
 乙巻は動きのある動物画で、後半はより細かく、家族や番の表情が描かれている。雲に乗ったキリンが、豹の居る岩山へ近づく場面転換風景は、雲の上から見た遠景が近づいてくるようなアングルになっている。続く羊の場面との間には遠くに岩山が横たわっている。視線を動かすと、まるで動画のようだ。
 丙巻は前半が人間達が遊ぶ場面、後半は、動物達がより複雑な人間の出で立ちを真似していて面白い。 
 どの場面も一目見るだけで理解できて、ユーモアが込められ、一瞬の光景が細かいところまで生き生きと描かれており、見れば見るほど楽しくなる。さすが国宝。でも、この二度の見学で外国人の姿は皆無だった。線だけで描く白描画は、下絵にしか見えないのだろうか。ちょっと残念だ。
 こんなに懐かしく感じるのは、子供の頃見入った「異時同時図法」の絵本の記憶だろうか。いろいろな空想を膨らませた日が蘇る。(G)


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